退職金で住宅購入はもったいない? 貯金した方がよい?
「退職」という人生の節目を迎えるにあたっては、これからの生活に対して期待と不安が交錯するのではないでしょうか。特に「退職金」の使い方については、悩む方が多いようです。 退職後の充実した生活を送るためにも慎重な検討が必要です。今回は、退職金と住宅について、これまで賃貸住まいであった方の相談事例をもとに考えてみましょう。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
そもそも「退職金」にはどんな意味がある?
勤め先企業の制度や財務状況、従業員の勤続年数やそれまでの報酬、また、それぞれの捉え方にもより諸説ありますが、退職金には、以下のような意味があると言われています。 ●長年の勤続に対する報酬 ●退職後の生活の安定確保 ●感謝とねぎらい つまり、退職金は、これまでの会社に対する貢献とともに退職後の生活を見据えた資金です。退職金は一時金での受け取りだけでなく、企業によりますが、年金形式での受け取りを選択することもできます。 また、それぞれに税制面での優遇があることも、そういった意味を裏付けるものと言えるでしょう。
退職後のライフプラン
現代は人生100年時代とも言われ、定年退職は人生の通過点に過ぎず、退職した後の人生をいかに充実した毎日にするかがとても重要です。 そのためにも、今後のライフプラン、そして資金計画はきちんと考えたいものです。給与に代わる収入として、原則65歳以降は公的年金を受給することができますが、それだけで生活することは難しいのが現状です。 総務省の「家計調査報告(家計収支編)2022年」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支は、年金などの実収入24万6237円に対して、住民税や社会保険料なども含めた支出は26万8508円と、月あたり約2万2000円が不足する計算です。
これらの金額は、あくまでも目安です。ただし、この生活費のほかに、介護や認知症などのリスクに対する対策もふまえると、公的年金以外にもある程度の資金を用意しておく必要があると考えられます。