椅子に腰かけてレジ打ち「脚も心も軽く」 スーパーなどで導入進む 働き手不足背景に
「脚がむくんで痛かった」
スーパーなどでレジ担当者の負担を和らげようと、気軽にその場に腰かけられる椅子を設ける店舗が中国地方でじわり増えている。人手不足が進む中、企業側には働き手を確保したい狙いもある。 【写真】マイナビが全国発売した椅子。狭いスペースにも置きやすい スパーク(広島市西区)は今夏に背もたれのない丸椅子を置き始め、広島県内の全15店のうち14店まで広げた。東区の中山店のレジチーフ沖しのぶさん(37)は「これまでは同じ姿勢で立ちっぱなしだったので脚がむくんで痛かった。今は脚が軽い」と喜ぶ。 海外のスーパーを視察した長崎清忠社長が、腰かけてレジ打ちするスタッフを見て導入を決めた。同社販売促進部は「従業員がより明るい声と笑顔で接客している」と受け止める。「人手不足でパートやアルバイトを集めるのは大変。従業員の居心地の良い職場にしたい」と力を込める。
「心の負担も軽くなる」
ホームセンター「グッデイ」長府店(山口県下関市)も9月に椅子を導入した。やはり人材確保が狙いだ。運営会社のグッデイ(福岡市)は「新しいチャレンジをしている、働く人へ思いやりがあるなどのイメージが従業員を集めるのに役立つ」と説明する。 職場からも「座っていいと思うと、心の負担も軽くなる」「腰痛や生理痛など、少し座ったら楽になる場合にありがたい」と歓迎されているという。一方で「客の目が気になる」「椅子を置くことで動きづらい」という声もあった。
「立ち続ける体力がない人も働ける」
レジへの椅子の設置は全国的に進んでいる。就職情報会社「マイナビ」(東京)は今春、「座ってイイッス PROJECT」をスタートさせた。姿勢良く座れる上に場所を取らない自社開発の椅子(1脚1万9800円)を全国発売。10月末までに174社へ約千脚を売った。中国地方にはコンビニやホテルなど21社に納めた。 プロジェクトチーム長の鈴木里彩子さんは「椅子を置けば、立ち続ける体力がない人も働ける」と、働き手不足対策に一定の効果があるとみる。その上で、レジの椅子の普及には「従業員は座っていてもいい、という社会の意識が育つことも大切」と強調する。
中国新聞社