田中正義に最大7球団? ドラフトは競合か、単独か、どっちがお得?
ここ数年の例を見ても、4球団が競合した2006年の楽天、田中将大(現ヤンキース)や、同じく4球団が入札した2007年の日ハム、中田翔、2014年の有原航平、2012年に4球団競合の阪神、藤浪晋太郎など、競合覚悟で1位指名して引き当てた場合、大きなプラス戦力として、その後チームの中核をなす存在となっている。 斎藤佑樹を外した年のヤクルトの山田哲人、大瀬良大地を外した阪神の岩貞祐太のケースのように、“外れ1位”でも成功するドラフトもあるが、中田翔を外した阪神の高濱卓也(ロッテへFAの人的補償で移籍)、オリックスの丹羽将弥(1軍出場がないまま引退)のようなリスクも伴う。 “外れ1位”に周到な用意がない場合は、競合を避けて、あえて単独指名を狙う戦略もありだろう。 30年以上スカウトの修羅場を踏んできた元ヤクルトの名スカウト、片岡宏雄氏に聞くと、「競合か、単独かは、チーム順位、置かれた状況にもよるだろう。優勝したチーム、あるいは投手に困っていないという余裕のあるチームは、競合覚悟で勝負ができる。地元のつながりなど、指名しなければならないという状況もある。逆に競合で敗れたら困るんだというほどピッチャー事情が切迫しているチームは、単独指名で確実に補強に乗り出す必要もある。今年のヤクルトやオリックスなどはその戦略で、即戦力を抑えておきたいのではないだろうか。 ただ、競合した選手が100パーセント成功するかと言えばそうでもなく、競合が得か、単独が得かに答えはない。今年みたいなドラフトでは、スカウトの好み、見る目が問われることになると思う。 余裕のあるチームは、競合を避けて、高校生の1本釣りを狙うこともできる。今ドラフトでの私のイチオシは作新学院の今井だが、今井の1本釣りなんて、実は狙いどころかもしれない」と言う。 ちなみに過去のドラフトで最多競合は、1989年の野茂英雄と、1990年の小池秀朗の8球団。野茂には近鉄、オリックス、日ハム、ダイエー(現ソフトバンク)、ロッテ、阪神、大洋(現横浜DeNA)、ヤクルトが入札して近鉄がゲット。小池には、ロッテ、日ハム、近鉄、西武、阪神、ヤクルト、中日、広島が入札してロッテがくじを当てたが入団は拒否された。次に1995年の福留孝介の7球団と続く。このときも近鉄の佐々木恭介監督が引き当てたが、福留は入団を拒否、日本生命へ進んでいる。 目玉の田中が、その最多競合記録を更新するのかどうか。いよいよ注目のドラフトが始まる。