「103万円の壁」見直しで税収減、多選批判に5期目は? 被爆80年の広島知事に聞く
令和7年が幕を開けた。広島では、被爆80年の節目を迎える。広島県政のかじ取り役として、世界平和の実現へ果たすべき役割は。4期目最後の新年を迎えた湯崎英彦知事(59)に、今年の展望や多選の是非が焦点となる中での「5期目」に対する考えを聞いた。 ■核兵器廃絶の機運高めたい --昨年、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受賞した。被爆80年への考えは 「被爆者が訴え続けた核兵器廃絶の願いが世界でも共感を得た。今年は核兵器のない世界を実現する決意を新たにする機会として非常に重要だ。受賞とともに、廃絶に向けた国際的な機運を高めていきたい」 --具体的には 「新年度当初は、国内外から各界のリーダーに参加してもらい、ビジネスと平和貢献のあり方を多面的に議論して世論にインパクトを与えるフォーラムを開催したい。8月など、広島にもっとも注目が集まる時期には、若者向けの平和イベントを充実させて実施する」 --被団協は今年開かれる核兵器禁止条約の締約国会議に日本がオブザーバーとして参加するよう求めている 「公明党の代表に、斉藤鉄夫氏(衆院広島3区選出)が就いた。斉藤氏とは以前から『オブザーバー参加が重要だ』という話をしている。いろいろなルートを通じて働きかけていきたい」 ■「103万円の壁」の議論は賛成 --年収103万円超で所得税が生じる「年収103万円の壁」の引き上げは地方の税収減につながる 「短時間労働者が年収の壁を意識せずに働ける環境整備は人手不足の解消につながり、積極的な議論については賛成だ」 --県政への影響は 「(非課税枠を178万円に引き上げた場合)県民税は年間約245億円の減収となる。これは従来の約3割減。一般財源ベースでは、私学振興補助金の倍ぐらいのすごい額だ。そういう意味で『あとは自治体が何とかしなさい』などのレベルでは済まない。議論の進展を注視していきたい」 --広島県人口の転出超過数は3年連続で全国最多となった