「103万円の壁」見直しで税収減、多選批判に5期目は? 被爆80年の広島知事に聞く
「10~30代の若年層は就職や転職、進学などの理由による転出超過が多い。転出要因に関する調査分析では、就職先を重視する場合、大企業のほか、成長を感じられる企業を求めて大都市圏に流出している。一部では、漠然と大都市に憧れる人たちもいて、ボリューム感は分かっているので対策を検討中だ」
--具体的な取り組みのイメージは
「若者が働きやすく、働きがいがあり、充実した生活が送れる環境づくりに取り組む。『若者のチャレンジを全力で応援する広島県』をつくっていく、と。広島県に多くの人々を引きつけ、人口の好循環をつくり出していきたい」
■5期目については「今は白紙」
--4期目も残り約1年。何に注力し、成果を得たか
「令和3年以降は100社を超えるデジタル系企業を誘致した。米半導体大手、マイクロン・テクノロジーによる大きな投資も決定し、成長分野の誘致はうまくいっている」
「先進7カ国首脳会議(G7サミット)を機に広島の食や文化、自然を世界に発信できた。経済波及効果は725億円。大きな成果だ」
--課題は
「物価高で多くの企業や県民、市民が苦しんでおり、いろんな情勢の変化に対応していくことは大きな課題だと思っている」
--観光活性化をどう図るか。宿泊税の活用は
「旅行者の満足度や利便性向上が非常に大事。それが口コミとして広がり、リピーターにつながる。宿泊税の導入(令和8年4月予定)はそのためで、具体的な使途は県内首長や観光関係者との議論を踏まえて決めていく」
--5期目に対する考えは
「今は白紙。いつ決めるかも今は分からない。意思決定の一番大きな判断材料は県民がどう思うかだ」(聞き手 矢田幸己)
■ゆざき・ひでひこ 東大卒、米スタンフォード大で経営学修士(MBA)を取得。平成2年に通商産業省(現経済産業省)に入省。12年に退官し、通信事業会社を設立。21年の知事選で初当選し、現在4期目。