示した“トミイチ”としてのプライド…粘り強いスタイルを貫き通した富山一が5戦無失点で頂点に!!
[6.2 インターハイ富山県予選決勝 富山一高 2-0 富山北部高 高岡スポーツコア] 【写真】影山優佳さんが“人気女優”と代表戦を現地観戦「可愛すぎる」「勝利の女神が2人」 2日、令和6年度全国高校総体(インターハイ)富山県予選の決勝が高岡市の高岡スポーツコアで行なわれ、富山一高と富山北部高が対戦。前半のリードを守り切った富山一が2-0で勝利し、3大会連続31回目の全国大会出場を手にした。 決勝までの4試合を21得点無失点という成績で勝ち上がってきた富山一。スコアだけ見れば圧勝に見えるが、楽な試合は1試合もなかったという。3回戦と準々決勝の前半は0-0。準決勝の富山東戦も早々と先制点を手にしたが、以降は押し込まれる場面も多く、「負けてもおかしくなかったゲームだった」と加納靖典監督も振り返る。 全国行きがかかった試合も上手く行かないことは想定済みで、「上手く行った試合があまりないので我慢しながら、戦いたいとは思っていた」(加納監督)。実際、序盤から不用意なボールロストが多く、思い通りにパスを繋いで前進できない。長いボールを相手エリアに入れても競り合いに強い富山北部のDF中村龍之介(3年)とDF大村悠太(3年)のCBコンビに跳ね返される場面が続く。 それでも、前半10分に自陣でのリスタートからDF田中陽路(2年)が右サイドに大きく展開し、FW藤田羚耶(2年)が勢いよく縦を突破。シュートは相手DFに阻まれたものの、クロスのこぼれ球を粘り強く繋いでゴールを狙うなどサイドから攻撃に活路を見出していく。すると、12分には左サイドからのボールを受けたFW喜多桜太郎(3年)がPA内で倒され、PKを獲得。このチャンスをゲームキャプテンのMF高橋大和(3年)が冷静に決めて、均衡を崩した。 幸先の良いスタートを切った富山一だったが、ここから勢いが落ちてしまう。「リーグ戦もそうなのですが、なかなかリードしたことがないチームなので先制点を早い時間帯に取ると受け身に回ってしまう」と口にするのは加納監督。「縦に速い選手ではないので常に周りの人と関わりながら前進していくプレーには自信がある」と話すMF中島澄也(3年)を中心に仕掛ける富山北部に押し込まれ、19分にはFW松崎瑛太(3年)にドリブルからのシュートを打たれるなど危ない場面も見られた。 我慢の時間が続いた富山一だが、27分には右サイド高い位置でスローインを獲得。高橋のロングスローをニアで田中が競り勝つと上手く落下点に入ったDF木下空(2年)が押し込み、リードを2点に広げた。 後半5分にはGK橋本顕悠(3年)のロングキックからMF谷口慶樹(3年)が相手ゴール前に抜け出すなど富山北部の時間帯が続いたが、富山一の守備陣に綻びは見られない。「今までの先輩たちがしっかりゼロで抑えてきたので、自分たちもゼロで抑えなければいけないと思っていた。ここをゼロで抑えないと全国だとやられてしまう。しっかり全員で戦い方が共有できていて、しっかりプレッシャーに行けていた」(DF大村笙太、3年)。 DF陣が跳ね返したボールも、システム変更によってCチームから引き揚げられたMF釜親遥斗(2年)が持ち前の守備センスを生かしてきっちり回収。時折、喜多がカウンターから相手ゴール前を抜け出すことで富山北部を押し返す。華麗な戦いではないが、粘り強いスタイルを貫き通した富山一が2-0のまま勝利した。 今年の富山一は3年生が例年より少なく、一学年30人に満たない。加えて、昨年からAチームで試合経験を積んだ選手も数えるほどで新チームが立ち上がる前から苦しい一年になると予想されていた。蓋を開けてもプリンスリーグ北信越1部で苦戦が続き、インターハイ予選が始まるまでは1勝1分5敗と黒星が先行。大村は「今年は富山北部に良い選手が揃っていたので、周りの人からも北部が行くんじゃないかと言われていた」と振り返る。 ただ、県勢最多の選手権出場回数を誇り、日本一の経験を持つ“トミイチ”としてのプライドはある。「今まで先輩たちが勝ってきたので、自分たちが歴史を崩すわけにはいかない。そこがみんなの柱になったというか、みんなの心の中に持って試合に挑めていた」。そう話すのは大村で、昨年までとは違うスタイルだったかもしれないが、粘り強くトーナメントを勝ち上がり、今年も“強いトミイチ”を示すことができた。 加納監督は「クォリティーを改善しないと全国では勝てないし、リーグ戦も残留できない。そこは彼らに求めていかないといけない」と気を引き締めるが、経験値の浅いチームだけに伸びしろは十分。全国までの間に更なるレベルアップを図り、ベスト8以上を狙いに行く。