ムンバイ名物、交通渋滞、黒煙あげる車 インドの環境改善、遠い道のり憂う
インドの港町ムンバイ。金融、商業の中心として栄える国内第2の都市では、人や車にリキシャに自転車、そして牛や犬までが所狭しとひしめきあう。渋滞もひどいので、ここに住んでいた頃、ラッシュアワーにはなるべく車に乗らないようにしていた。ひどいときには5キロ進むのに1時間かかることもあるので、歩くのとそう変わらないほどになる。1980年に30万台ほどだったこの町の車の数は、今や300万台近くに増加した。世界中、特に発展途上国における車の急増は、当然のことながら地球温暖化を悪化させている。 温暖化とは、地球を覆う温室効果ガスが増加し、閉じ込められた熱によって地球の気温や水温が上昇すること。大気のバランスが崩れ、結果的に暑くなるだけでなく、冷夏や寒波などの寒冷化もおこる。 車の排気ガスや石炭火力発電、工場から出される二酸化炭素は、大気中での寿命が長く、100年にもわたって悪影響を及ぼす。 インドのように法整備の整わない新興国では、排ガス規制のゆるい旧型車が整備もされずに走っているので、余計に始末が悪い。渋滞時にやむなく乗ったタクシーの中で、黒煙をあげるトラックを車窓越しに見ている時など、この国の環境改善はまだまだ先の話だと、よく悲観的に思ったものだ。 (2009年12月撮影) ※この記事はTHE PAGEの写真家・高橋邦典氏による連載「フォト・ジャーナル<地球温暖化のいま>」の一部を抜粋したものです。