茨城トヨペット営業マンがエイジェック補強選手で都市対抗出場 シンデレラ左腕・中島悠貴の野望「相手に絶望感を与えるピッチャーになりたい」
こちらが名刺を差し出すと、中島悠貴は両手で受け取りながら「すみません、トヨペットの名刺は置いてきてしまったんです」と、おどけるように言った。その笑顔には、すっかりと染みついた「営業マン」のムードがあった。 【写真】実力派の野球美女たち。私服・ユニフォーム姿の厳選カット集(19枚) 中島は普段、茨城県水戸市の自動車販売店・茨城トヨペットで営業として勤務している。だが、現在は栃木県小山市・栃木市を本拠にする強豪企業チーム・エイジェックに補強選手として合流。7月18日に開幕した都市対抗野球大会の初戦に向けて、調整をしている。 補強選手とは、都市対抗特有のルールである。本戦への出場権を獲得したチームが、予選で敗退したチームから3人まで選手をレンタルできる。補強選手で活躍した無名選手が脚光を浴び、ドラフト指名されるケースもあるのだ。中島は都市対抗予選で敗退したものの、エイジェックの補強選手に指名されている。 【野球部の練習は週2回】 中島は最速150キロの快速球とスライダー、スプリット、ツーシームなどの変化球を武器にする左投手。捕手のミットに向かってシュートしながら浮き上がって見えるストレートは、今秋のドラフト指名を十分に意識できる好球質だ。 そんな中島も、日本大時代はリーグ戦登板わずか3試合と実績らしい実績を挙げられなかった。本人は「完全な実力不足」と振り返る。 「ストレートに力はあっても、コントロールが悪くて。首脳陣からすると使いづらいピッチャーだったと思います」 大学卒業後は茨城トヨペットに入社し、野球部に入部した。企業チームとはいえ同社は「本業第一」の方針を打ち出しているため、野球部員もフルタイムで勤務する。野球部の練習は月曜と木曜の週2回に限られる。 「野球がしたくてもできない環境なので、週2回の練習にどれだけ向き合えるかが大事だと考えています」 ただし、中島にはこの環境が合っていたようだ。入社後、中島は急成長を見せる。 「週2回の練習にマックスを持っていけるので、練習のしやすさはあります。あとは野球から離れる日があると気持ちを切り替えられたり、疲労がたまりにくかったりするメリットもあります」