茨城トヨペット営業マンがエイジェック補強選手で都市対抗出場 シンデレラ左腕・中島悠貴の野望「相手に絶望感を与えるピッチャーになりたい」
技術的には、グラブの型を変えたことが転機になった。体重移動時にグラブハンドの右手をグッとつかみやすくなり、「体が開かなくなった」という。それまでの中島は胸郭、肩甲骨周りが柔らかく、自分の意思で制御しきれなかった。その課題がグラブの型を変更したことにより、「自分の体のことを理解できるようになった」と、中島のコントロールはまとまっていった。 入社2年目の今季、都市対抗二次予選では強豪企業チームを相手に牙をむいた。SUBARU戦では5回2/3を投げて9奪三振、無失点の好投。さらに日立製作所戦では9回を完投し、5安打1失点の快投で日立製作所を敗退へと追いやった。チームは二次予選で敗退したものの、中島は大きな手応えを得た。 「コントロールに自信がついてきて、マウンドで物怖じしなくなりました。『打てるものなら打ってみろ!』と堂々と投げられるようになった気がします」 都市対抗を間近に控え、中島はエイジェックから補強選手に指名される。 エイジェックは新興の企業チームながら、選手数は63人と社会人最大規模を誇る。投手陣だけで25人もいるため、中島は「最初は誰が先輩で誰が後輩なのか、年齢がわからなくて、基本的に敬語で入っていました」と苦笑する。 それでも、同世代の若い選手が多いこともあり、打ち解けるのに時間はかからなかった。今やエイジェックのチームメートからは「ナカジ」の愛称で親しまれている。 「同期のピッチャーはしゃべりやすくて、みんな仲良くなりました。河北将太、鶴田克樹、谷内隆悟、清水敬太、あとはエビちゃん(蛯沢岳朗)。河北はプロからも注目されていてすごい実力なんですけど、自分とは持ち味が違うので、対抗心は持たないようにしています」 【エイジェックの施設に驚愕】 野球に集中できる環境も新鮮だった。中島は目を輝かせて、こう語った。 「野球が大好きなので、毎日野球ができる喜び、幸せを感じています。エイジェックは練習施設もすばらしくて、好きなだけ練習できますから」