風雲急告げる決断 昨季CY賞コールがOP権行使でヤ軍退団へ NY紙は“権利阻止”に疑問視「FAでは将来の価値に支払いを」
ワールドシリーズ終了直後から米球界は補強に向けた動きが活発化している。その中でビッグニュースが舞い込んだ。 【動画】まかさの失態…ヤ軍エースのコールが犯した緩慢守備をチェック 現地時間11月2日、スポーツ専門局『ESPN』をはじめとする複数の米メディアはヤンキースのゲリット・コールが来季以降の契約を破棄したと一斉に報じた。 チーム編成を大きく揺るがせる動向だ。2019年オフに当時としては投手史上最高額となる9年3億2400万ドル(当時355億円)でヤンキース入りしたコールは、大車輪の活躍でチームを牽引。15勝4敗、防御率2.63、WHIP1.13の成績を残した昨季にはサイ・ヤング賞にも輝いていた。 契約期間は2028年までとなっているコールだが、今オフにオプトアウト権(契約破棄できる権利)を保持。今回はそれを行使した形となった。なお、ヤンキースは来季からの4年1億4400万ドル(約220億5000万円)の契約に、2029年の年俸3600万ドル(約55億円)を追加すれば、オプトアウト権を無効にできる。 来年に35歳になるとはいえ実力に衰えは見られない。先発ローテーションの柱を担ってきたコールがこのまま退団となれば、ヤンキースの戦力ダウンは必至だ。ゆえに地元メディアではチーム状況を不安視する声が相次いだ。 ニューヨークの日刊紙『New York Post』は「驚くべきことだ」とコール側の決断を報道。ヤンキースがオプトアウト権行使を止めるためには、現地時間11月3日(日本時間4日)までに本人の代理人で、敏腕として知られるスコット・ボラス氏に追加支払いを伝える必要があると詳報を伝えた。 もっとも、「ヤンキースがコールのFAを認めるとしたらそれは驚きだ」とする同紙は、28年までの契約更新に懐疑的な意見も提示する。 「今年、コールに肘の懸念も浮上したことを考えれば、少し躊躇するかもしれない。たしかに彼はヤンキースに5シーズン素晴らしい成績をもたらした。しかし、FAにおいて、チームは過去の価値ではなく将来の価値に対して支払うことを念頭に置いている。 ヤンキースが契約にさらに1シーズンを追加して5年総額1億8000万ドルの契約とした場合、同チームはコールの34歳から38歳までに相当な費用を支払う必要が出る。今シーズンにキャリアで初めて肘の故障を経験した投手が、30代後半になってもトップクラスの成績を維持できるだろうか?」 チームのメンターでもあるコールの重要性は百も承知。一方でビジネス的な面を考慮すれば、契約継続への不安も少なくないというわけである。同紙は今オフのFA市場にはコービン・バーンズ、マックス・フリード、ブレイク・スネルとコールよりも年下の実力派投手が居並ぶことから「少なからず緊張感を生じさせている」と伝えた。 今季に15年ぶりとなるアメリカン・リーグ制覇を成し遂げたヤンキース。そんな名門にあってコールの動静は風雲急を告げるものとなっている。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]