国内景気は4年1カ月ぶりに「3カ月連続で悪化」~個人消費の停滞が響く
TDB景気動向調査(全国)― 2024年6月調査 ―
帝国データバンクが2024年6月の国内景気に関する調査を実施したところ、景気DIは前月比0.2ポイント減の43.3となり、4年1カ月ぶりに3カ月連続で悪化した。 宿泊業や娯楽サービス業など個人向けサービスを中心に個人消費DIが大きく落ち込んだ。円安による原材料価格の高止まりなどコスト負担の増加が景況感を下押しする要因となった。 さらに人件費の増加や2024年問題への対応、不十分な価格転嫁なども悪材料だった。近隣地域からの旅行客獲得が各地域の観光産業の明暗を分けた。 一方で、インバウンド消費が好調だったほか、DX関連投資や民間工事の発注増加、エアコンなど季節商材の販売、活発なイベントの開催などは好材料だった。
10業界中6業界で悪化、諸経費の高止まりや購買意欲の低下が響く
業界別では、個人消費の停滞が続いたことに加え、円安による原材料価格の高止まりや人件費の増加などが重荷となった。他方、インバウンド需要や半導体、ホテル関連の設備投資などはプラス材料だった。 なかでも、『サービス』は3カ月連続で悪化。好調なインバウンドに支えられつつも国内旅行者の低迷から「旅館・ホテル」は3カ月連続で悪化した。同じく「娯楽サービス」も3カ月連続の下落となった。 外食の利用が減少しているといった声のあがる「飲食店」は2カ月連続で悪化した。「広告関連」も資材の高騰や紙商材の減少などから2カ月連続で落ち込んだ。 他方、患者数が増加してきたといった声のある「医療・福祉・保健衛生」は、2カ月連続で改善した。
10地域中6地域が悪化、近県からの旅行客獲得が明暗を分ける
全国を10の地域に分けてみると、『南関東』『北陸』など10地域中6地域が悪化、『東北』など4地域が改善した。都道府県別では26府県が悪化、19道県が改善となった。インバウンド消費は好調な一方で、近県からの旅行客獲得が各地域の明暗を分けた。 なかでも、『南関東』は3カ月連続で悪化。域内1都3県のうち3県が悪化、「東京」が横ばいとなった。前向きな資金需要の不足や保険・証券業界での不祥事など『金融』が3カ月連続で落ち込んだ。また『サービス』も低調だった。 国内景気は、円安にともなうコスト負担の高まりや個人消費の落ち込みにより改善が進まなかった。