DePINが解決するAIロボットの「空間把握」という課題
企業にもプライバシーが必要
今、スーパーに入って棚を撮影し始めたら、すぐに店から追い出されるだろう。目の高さに置かれた商品は手に取られ、買われる可能性が高く、小売業者は売上を最大化するために商品の置き方に細心の注意を払っている。そのため、店舗のビジュアル・マーチャンダイジングは競争上の秘密として慎重に守られている。 簡単に言えば、店舗は商品レイアウトを中央集権的なサービスと共有することに興味がない。我々のロボットが店舗に現れるだけで、すべての商品がどこにあるかを瞬時に把握できると期待することは不合理。店舗の知的財産を損なうことになるからだ。 その代わり、我々が望むことのできる最善の状況は、個々の商品に関するロボットの質問に答えることができ、企業のセキュリティを損なうことなくAIやARグラスを必要な場所に導くことができる、独自にホストされた安全なシステムを店舗が持つことだ。 注意深い読者であれば、DePINがWeb2時代の大手テック企業を凌駕し、プライバシーを保護する方法で我々にケチャップを買ってくると期待されていることにすでにお気づきだろう。 人間とは異なり、ロボットやコンピュータは互いに空間データを交換し、共同して世界を認識できる。協調的空間コンピューティングは、他の外部情報源に接続することで、マシンが世界をより良くナビゲートすることを可能にする。Web3のDePINパラダイムでは、この交換に金銭的なインセンティブを与え、暗号資産を使って安全を確保することができる。
分散型マシン知覚ネットワーク
買い物ロボットが、企業のセキュリティを損なうことなく、より速くケチャップを見つけられると想像するのはかわいらしい例だ。しかし、分散化されたマシン知覚のもたらす影響は驚異的だ。自動運転車同士が協調し、リアルタイムの交通情報を交換できるようになれば、交通は根本的に変わるだろう。 ロサンゼルスの人口よりも多くの車が走っている北京では、毎日1000年分以上の人間の生産性が移動時間によって失われている。分散化されたマシン知覚は、自動車が互いに協調して、より速く移動することを可能にし、毎日数百年分の生産性を解き放つだろう。 分散化されたマシン知覚はいつの日か、より小さなモジュールでプライバシーを保護するARメガネを可能にするだろう。それはARメガネが、負荷のかかる空間コンピューティングの一部をローカルの測位サーバーに負担させることができるからで、文字や電話の発明と同じくらい重大な方法で人間のコミュニケーションを変えるだろう。 我々の文明が今後20年間で1000億以上の知的マシンを擁するところまで成長するに伴い、分散型マシン知覚ネットワークは、地球上とそれを超えた宇宙空間の両方で、ひとりひとりが自分の居場所を見つける手助けをするようになるだろう。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Hauntedeyes/Unsplash|原文:DePIN’s Solution to AI’s Biggest Blind Spot
CoinDesk Japan 編集部