原油からEVまで、トランプ氏勝利で一変する米国のエネルギー政策
トランプ氏は「米国のエネルギーを解き放つ」との公約を掲げ、「米国の公有地に広く埋蔵されている液体の金(原油・ガス)をエネルギー開発のために解放する」計画だと発言した。
これは、公有の土地および水域での化石燃料掘削を制限するバイデン大統領の政策からの急激な転換を示唆する。バイデン政権下では、石油・ガスの沖合鉱区の借用権売却について過去最小規模の計画を策定。5年間で予定された入札は3回にとどまった。バイデン政権はまた、アラスカ国家石油保留地(NPRA)の半分以上で掘削を禁止する規制を課した。
トランプ氏は、内務省に対しこれらの政策を直ちに変更するよう指示する可能性がある。ただ沖合鉱区の借用権売却に関する新しく、より安定した計画を施行する上で、必要とされる環境面での精査や手続き要件を同省が完了させるのに最長で2年かかる可能性がある。
LNG輸出
バイデン政権は、一部の国に対する液化天然ガス(LNG)輸出の新規認可を一時停止したが、トランプ氏の勝利により、この方針は白紙に戻ることになる。
トランプ氏は、「政権復帰初日」に新規認可の一時停止措置を撤廃すると公約。手段としては、主要アジア諸国や米国との自由貿易協定(FTA)非締結国へのLNG輸出申請の審査を再開するよう指示する大統領令を、エネルギー省に対して発することが考えられる。
方針変更により恩恵を受けるとみられる企業には、ベンチャー・グローバルLNGやエナジー・トランスファー、コモンウェルスLNGなどがある。
洋上風力発電
洋上風力発電業界に対する政策については、トランプ氏は具体的な方針を説明していない。米東海岸では、洋上風力発電施設の開発が加速している。
ただトランプ氏は、鳥やクジラに影響が及ぶ可能性があるとして批判を繰り広げており、ニュージャージー州で今年開かれた支持者集会では、「初日」に行動を起こすを述べた。内務省に新規プロジェクトの許可停止を指示する可能性もある。