メルセデスAMGの新型SUV、テスト走行開始 1000馬力超も実現可能か
AMG専用の高性能SUV
間もなく登場するポルシェのカイエンEVやロータス・エレトレへの対抗馬となる電動SUVを、メルセデスAMGが2027年に発売する。同ブランドの歴史においても突出してパワフルな量産車となるだろう。 【写真】新型SUVと技術共有? AMGの次世代「4ドア・クーペ」【ビジョンAMGコンセプトを写真で見る】 (14枚) メルセデス・ベンツは12月12日、AMGの新型「SUV」のプロトタイプが公道でのテスト走行を開始したと発表した。AMGが独自に開発する初のSUVで、完全電気駆動のAMG.EAプラットフォームをベースとする。 AMG.EAプラットフォームは、このSUVに先駆けて2026年に発売予定の「4ドア・クーペ」で初めて採用されている。800Vシステムと先進的な軸方向磁束モーターを複数基搭載し、最高出力1000psを超えるほどのポテンシャルがあると言われている。 メルセデス・ベンツが所有する英国企業ヤサ(Yasa)が開発した軸方向磁束モーターは、1基あたりの出力480ps、最大トルク81.5kg-mを発生する。AMGはこれを新型SUVの重要な構成要素と見なしている。性能ベンチマークの1つが、最高出力918psのロータス・エレトレRである。 AMGの新型SUVはオンロードでのパフォーマンスを重視しているが、関係筋はAUTOCARに対し、オフロード走行時に地上高を確保する車高制御機能が搭載されると語っている。 スタイリングに関しては、公開されたプロトタイプの画像から、ビジョンAMGコンセプト(4ドア・クーペのベース)の影響を受けることが明らかになっている。 フロントエンドには新デザインの「パナメリカーナグリル」が採用され、スリーポインテッドスターのグラフィックを含む特徴的なヘッドライトも装備される見込みだ。 張り出したフェンダーは力強さを表現し、EQE SUVやEQS SUVにも見られる格納式ドアハンドルが空力効率を高めている。 AMGの既存モデルには、従来型のSUVとクーペSUVの2種類のボディスタイルがあるが、新型ではSUVのみとなり、「比較的直立したテールゲートと角度のついたリアウィンドウ」により、「形状と積載スペースの最適なバランス」を実現していると関係者は言う。 寸法的には、EQE SUV(全長4863mm)とEQS SUV(同5125mm)の中間に位置する。車内には、ダッシュボードとディスプレイに独自のデザインを採用し、新しいAMG.OSソフトウェアを搭載する。 AMGのCEO、マイケル・シーベ氏はAUTOCARの取材に対し、「SUVは長年にわたり、最も人気の高いモデルの1つだ。当社はこれに応えて、AMG.EAプラットフォームをベースとした高性能オフローダーをお客様に提供する。新しい高性能アーキテクチャーは、AMG第一、EV第二という明確な哲学に基づいている」と語った。 AMGはバッテリーの仕様について多くを語ろうとしない。しかし、AUTOCARが聞くところでは、現行のニッケル・マンガン・コバルトバッテリーよりも高効率で、航続距離が長い別の正極材を導入する予定であるという。 また、充電速度を高速化するために、特に水冷方式を中心とした熱管理についても開発が進められている。参考までに、現行のメルセデスAMG EQE 53 4マティック+は90.6kWh(使用可能容量)のバッテリーを使用し、最大航続距離517km、充電速度は最大170kWで、15分の充電で180kmを走行できる。 さらに、新たなソフトウェアとインバーター技術の開発も進行中であると伝えられている。 AMGの新型SUVの生産は、ドイツのジンデルフィンゲン工場で4ドア・クーペと並行して行われる予定だ。
執筆 AUTOCAR JAPAN編集部