アディダス、アシックス、ヴァンズ… 大人がいい服に合わせたい「語れるミニマルなスニーカー」8選(後編)
ラグジュアリーをカジュアルに装うストリートのトレンドは落ち着き、シンプルな中に、わかる人にはわかるさりげない品格が求められている。そんなウェアに合わせたいスニーカーもまた、見た目重視ではなく、ミニマムで語れるデザインが気分。エディター小澤匡行が、その基準を解説。 【写真】アディダス、アシックス…2024年に大人が選ぶべき「春スニーカー」BEST30をチェック!
(右)LAST RESORT AB VM005・(左)ASICS GT-2160
スニーカーはカルチャーとの関係性がスタイリングに影響しているので、見た目は革靴なのに快適、っていう論では履く理由にはなりにくい。でも、スケートブランドの作る革靴スニーカーは別。2000年代初期から、スケーターがパーティに行くシーンを想定したローファー型スニーカーが増えました。ストリートな彼らにとって革靴は必要ないんですよね。ラストリゾートABのタッセルスニーカー(右)は、そういう背景に重力を感じました。ちなみに履き心地は軽やかです。アシックス(左)はY2Kのトレンドが人気を支えていますが、スポーツ感を排除した配色に大人の色気を感じます。テーラードジャケットが今季は注目されていますが、ちょっと高級な服と合わせると、いい40代に映りそうです。
(右)J.M. WESTON HUNT ONTIME・(左)VANS SK8-MID REISSUE 83
王道をあえて選ばない「じゃないほう」セレクトは、UOMOが得意とする天邪鬼理論ですが、スニーカーにあてはめるならジェイエムウエストンです。シグネチャーローファーでもゴルフでも、まして革靴でもない「ハント オンタイム」(右)は2000年前後にエルメスやシルヴァノ・マッツアなんかが作っていたスニーカーの雰囲気を思い出します。これはフランスのリモージュ工場の職人の手で作られていて、なんならソール交換も可能だとか。一方のヴァンズ(左)は、新しく発売されるVANS PREMIUMシリーズのもの。これはUSAのオリジナル工場で生産されていた昔の時代の仕様を再現しつつ、高級感が細部に表現されています。ともにクラシックで、さりげなくラグジュアリーです。
adidas Originals LONDON
アディダスのサンバがつくり上げた、薄くて細いスニーカーのムーブメントは、パンツの選び方や見え方を劇的に変えたと思います。普遍的なストレートジーンズやチノ、そして上品なスラックスに合わせてもシルエットに干渉せず、スニーカーの主張も控えめになりました。大人はそのくらいがおしゃれです。その成功例に倣ってアディダスでも薄くて細いアーカイブを掘り起こしていますが、発売を控えているLONDONも同様の魅力があります。爪先の面積がサンバやガゼルなどより明らかに狭く、よりキュッとした印象。上から見たときにワイドスラックスからはみ出た見え感が好みで、上質なロロ・ピアーナがよりドレッシーに見えます。