34歳、ゲレンデを買う──遂に納車(Vol.6)
クルマへ求める要素の変化
走らせると、2018年に乗った「G350d」と遜色なかった。交差点を曲がったあとは、よっこらしょと力を入れてステアリングを戻さなければならないし、カーブではトラックのようにステアリングをたくさん回さないといけない。でも、快適すぎる現代のクルマからすれば、かえってそれがクルマを動かしていることが実感できて良い。仕事柄、最新のクルマに山ほど触れるが、それらとは異なるちょっと古いクルマの挙動が楽しいのだ。 2018年にG350dを試乗したときは、「21世紀にもなって、こんなクルマに乗るなんて何がいいのか……。もっと快適なクルマはいくらでもあるのに」と、思った。このとき、Gクラスを購入するなんて考えられなかった。 あれから6年が経ち、さまざまな最新モデルに触れるうち、考えが大きく変わった。今では、ちょっと懐かしいハンドリングを楽しめるG350ブルーテックが楽しくて仕方ない。 乗り心地が独特なのもイイ。最近のSUVにありがちな、雲の上を走っていくようなフラットな快適さとは異なる。ふわりふわり……と、海洋を進むヨットのような揺れがたまらない。クルマが動いている感を、しっかり把握できるのが好ましい。 搭載する3.0リッターV6ディーゼルターボエンジンは、特別パワフルなわけではないし、甘美なエンジンサウンドを響かせるわけでもない。とはいえ、ハンドリング&乗り心地からして飛ばしたくなるようなクルマではないので必要十分。もしパワーが欲しければメルセデスAMG「G63」を選べば良いが、W463の性能を鑑みると、オーバースペックのような気がしなくもない。 ちなみに帰路、三郷~都心部まで約35kmの道のりの平均燃費は7.3km/L。ルートの半分が大渋滞の首都高速道路だっただから、こんなものだろう。もっとも、使用油種が軽油だから財布への負担が軽減されるのは助かる。 満足度の高い1台だったが、手を入れなくてはいけない箇所はいくつかある。ひとつはタイヤだ。溝がほとんどなく、即交換しなくてはいけないレベル。もうひとつはボディコーティング。納車前に磨いていただいたのである程度は輝きを取り戻したが、いかんせん9年落ちの中古車である。降雨後の雨シミがかなり目立つのをなんとかしたい。 ほかにもしたいこと、やりたいことはいくつもある。34歳のゲレンデライフは楽しくなりそうだ!
写真・安井宏充(Weekend.) 文と編集・稲垣邦康(GQ)