「昔は木でギターを作っていた」と言わせないために。米ギターメーカーの革新的木材利用法
現在進行形で、取り組みを続ける
さらにテイラーは、より持続可能な楽器作りを実現するために、身近な樹木にも着目。悪天候で倒れた倒木や、寿命を迎えて廃棄される街路樹や公園などの公共の樹木をギター材にする「アーバンウッド・イニシアチブ」というプロジェクトを立ち上げ、2020年には、その第一弾商品をリリースした。ほかにも、ハワイ島のコアの森の復元・再生にも着手するなど、自然保護活動の幅を広げている。 「私たちは、こうした活動を一過性のものとして捉えられることに非常に抵抗があり、経営層からも常々『完了形で話をしてはいけない』と言われています。要するに、現在進行形であることを大事にしている。自然環境の保護というのは、自分たちが生きている間コミットし続けなければ実現できませんので、持続可能な木材でギターをひとつ作ったらそれで終わり、ということには絶対になりません。今こうしてギターを作ることができるのは、何世代も前の先人たちからの"借り"ですので、資源を使いっぱなしで終わることなく、未来の人たちに残す努力を続けていかなくてはいけないと考えています」 自然環境を守り次世代につないでいくためには、サステナビリティや持続可能性を、一過性で消費されるような「トレンド」にしてはいけない。だからこそ、責任をもって資源を管理し、そして長い目で活動に取り組み続けることが、ものづくりにおいても求められている。
取材:三菱電機イベントスクエア METoA Ginza "from VOICE"