「2歳でチェーンスモーカーに」アルディ君のその後 「学校を中退して母親の手伝い」「たばこよりチョコレートが好きに」
「学校内で堂々と喫煙する生徒も」
特に未成年者の喫煙は社会問題にもなっていて、 「インドネシア国内の喫煙者数は世界2位で、13~15歳の喫煙者が26万7000人以上に及ぶという報道もありました。たばこの値段は上がっていますが、アルディ君の騒動後も、未成年の喫煙が減る気配はありません。例えば、首都・ジャカルタでは自転車で飲み物を売り歩く人たちがたくさんいますが、この人たちは同時にたばこの“バラ売り”もしている。インドネシアの学校は基本的に給食がなく、子どもたちはお金を持たされて学校周辺のお店で昼食を取る。その際に余ったお金でバラ売りのたばこを調達したりするのです。高校生になれば、学校内で堂々と喫煙している生徒も珍しくありません」
2回の厳しいリハビリ
喫煙無法地帯ともいえる環境により、1歳半にしてタバコの味を覚えてしまったアルディ君。映像が公開された直後、事態を重く見た政府の主導で、アルディ君は故郷を離れ、ジャカルタで「禁煙セラピー」を受けることになった。 「インドネシアを代表する心理学者のもと、遊びや運動、食事などで吸いたくなる気持ちをそらしながら、毎日少しずつタバコの本数を減らしたそう。チェーンスモーカーだったアルディ君は吸いたい衝動から壁に頭をぶつけたり、目まいがしたりという依存の症状を抑えるのが大変だったといいます。さらに、過酷な治療でアルディ君は肥満が進み、禁煙に成功した後は過食を抑えるための2度目のリハビリまで必要だったと報じられていました」 だが、2回の厳しいリハビリが功を奏し、アルディ君は学校で優秀な成績を収める、健康な少年に生まれ変わったという。 「アルディ君の母親もメディアのインタビューで“昔はたばこをもらえないと泣いていた息子が、たばこに見向きもしなくなり、性格もフレンドリーになった”と喜んでいました」
学校を中退して、母親の仕事を手伝い
禁煙後は「医者になって皆の健康を守りたい」と夢を語ったアルディ君。勉強に運動に、充実した学生生活を送っているとも思えたが、気になる報道も。 昨年、アルディ君に直撃取材を行ったドイツの週刊誌によれば、〈アルディ君は学校を中退して、市場で母親の仕事を手伝っている〉。暮らしは決して楽ではないようだが、彼は「禁煙セラピー」の心理学者と今も連絡を取り合い、〈たばこよりもチョコレートが好き〉という。 どうやら、チェーンスモーカーに逆戻りする心配はなさそうである。 「週刊新潮」2024年5月2・9日号 掲載
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