サウジマネー呼び込み図る香港、苦境に立つ株式市場の回復目指す
(ブルームバーグ): 香港は山積する株式市場の課題に対応するため、サウジアラビアに新たな資金を求めている。
サウジ証券取引所(タダウル)グループと香港取引所は9日に会議を共催する。香港が金融ハブとしての地位向上に向け新たな株式上場や資金流入を必要としていることを踏まえると、タイミングは絶妙だ。香港がこのフォーラムから恩恵を受ける可能性がある一方で、アジアの投資家へのエクスポージャー拡大を求める多数のサウジ企業関係者も参加する。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、エドモンド・クリストウ氏(ドバイ在勤)は、「中国と湾岸諸国の間には、こうした関係を推し進める強い政治的意志がある」と指摘する。
地政学的な緊張が高まる中、米欧の投資家は中国でのビジネスを思いとどまっている可能性があり、9日の会議ではこれに代わる新たな投資家の呼び込みを図る香港取引所の戦略にスポットライトが当てられる。中国の証券監督管理委員会(証監会)は先月、国内企業による香港での新規株式公開(IPO)を促進する方針を発表した。
香港取引所はここ数年、苦境に立たされている。中国経済の失速や米中の対立激化により、中国関連株への投資家の関心は低下している。香港でのIPOによる資金調達額は1-3月(第1四半期)に6億1000万ドル(約950億円)と、2009年以来の低水準に減少した。
中国との関係緊密化の魅力は、サウジ側にとっても明らかだ。サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は同国の「ビジョン2030」計画の下で、外国人持ち株比率を高め、上場株式の流動性を高めることに取り組んでいる。
香港とは対照的に、サウジの株式市場は力強さを増している。サウジ株式市場の時価総額がここ3年で11%増加したのに対し、香港株式市場は25%減少している。
原題:Hong Kong Woos Saudi Money in Attempt to Revive Stock Market(抜粋)
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Filipe Pacheco, Christine Burke