インド寺院の「宙に浮く石柱」に目を疑う…奇跡の証か、はたまた偶然の産物か
風変わりな趣向のねらいは
この不思議な柱は、一体どのような目的で作られたのか。その謎をめぐっては様々な説が語り継がれている。古くからの言い伝えでは、当時の建築家たちが意図的に仕掛けた技だとされる。また、英国統治時代に英国人技術者が手を加えたという説も残る。 しかし、科学ニュースサイトのIFLサイエンスによると、より現実的な見方もあるようだ。長い年月のあいだに地震の振動で徐々に動いて接地面が不安定になったか、あるいは建設当時の測量誤差によって柱の下面全面で接地することができなかったため、偶然にこのような状態になったのではないか――という説だ。 同記事によると、このような建築にまつわる不思議な話は世界各地に存在する。たとえばイギリスのウィンザー・ギルドホールには、天井まで届かない柱があり、こちらも様々な逸話を生んできた。 ギルドホールに関しては、天井の崩落を懸念したクライアントが室内に柱を追加するよう依頼したが、建築士はせめてもの抵抗として柱との間に隙間を残した、との説が語り継がれている。 インド寺院の浮遊する柱の真相は今も謎に包まれたままだが、それがかえって魅力を深めているのかもしれない。卓越した建築技術の結晶であるヴィーラバドラ寺院において、今日も不思議な見どころとして人々を魅了している。
文:青葉やまと