BE:FIRST 三山凌輝、“爪痕を残す”演技力で登り続ける俳優の頂き 『虎に翼』経て主演映画も
NHK連続テレビ小説『虎に翼』第20週は、主人公の寅子(伊藤沙莉)が新潟から東京に戻ってきた場面から始まる。そこで新たに問題として沸き上がったのが、弟の直明が結婚するにあたって、妻となる田沼玲美(菊池和澄)と、寅子や義理の姉の花江(森田望智)ら家族と共に暮らしたいということであった。これに対して、花江は反対しているのであった。 【写真】『虎に翼』で三山凌輝演じる直明が婚約者を紹介するシーン この直明を演じているのは、BE:FIRSTとしても活躍している三山凌輝だ。直明は戦前は帝大を目指して岡山にある進学校の寄宿舎に行っていたが、戦後の混乱期を乗り越えるために家を支えようと進学をあきらめた。その後、寅子が再び司法の世界で働くようになったことをきっかけに、また勉強を始めて無事に帝大に入学した経緯がある。 結婚しても猪爪家と同居がしたいという願いも、戦中に家族と離れ離れになってしまった寂しさがトラウマのようにあったからだった。 『虎に翼』には、寅子をはじめ個性の強い登場人物が多い。そんな中、直明はどちらかというと、感情を抑えていた部分もあり、もしかしたら、微細な演技を求められる役なのかもしれない。 三山はインタビューでも、「素直で、真面目で、まっすぐ。誰かのために自分を押し殺すこともできる人だと思います」と直明の人柄を語っている。(※1) 直明がなぜ玲美と結婚しても家族と離れたくないのかは、直明の言った「戦時中のことを思うと、理屈じゃないんだ、とにかく怖いんだよ」という率直な言葉が全てだろうと思わせるものがあった。 三山凌輝を俳優として初めて観たのは、2022年の映画『HiGH&LOW THE WORST X』であった。そのときにはすでにBE:FIRSTとして活動しており、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEの川村壱馬と吉野北人、NCT 127の中本悠太(YUTA)とともに劇中歌「Wings」も歌っている。 このときに三山が演じた天下井公平は、俳優経験が豊富でないと演じられないのではないかと思われるほどの難しい立ち位置にある役であったが、三山がそれまでにも舞台やドラマなどに数多く出演していると知って納得した。 天下井公平は、主人公の花岡楓士雄(川村壱馬)らが通う鬼邪高の前に立ちはだかる三校連合の中のひとつ・瀬ノ門高校の頭。彼は、その右腕的存在の須嵜亮(中本悠太)を心の中では強く頼りながらも厳しく当たってしまうというアンビバレンツな感情を持っており、そこには天下井の複雑な生い立ちと、「弱さ」が確かに見え隠れしていた。また、その目つきや表情も鋭いのに、どこか自信のなさも漂わせていた。 毎回、若手の俳優が切磋琢磨し、それぞれの存在感を発揮する場になる『HiGH&LOW』シリーズだが、三山の姿は、『HiGH&LOW THE WORST X』を観たものに強い印象を残したことだろう。