【毎日書評】短時間で結果を出すドイツ人の働き方|まずは社内メールの見直しから
社内メールはできるだけ少なく
社内のメールに関しては、もうひとつ大きな違いがあるそうです。ドイツ人のなかには、メールを受け取っても日本人のように細かく連絡してくれない人も多く、それどころかメールを無視する人すらいるというのです。 それは、彼らが社内連絡のために時間を取られるのを防ごうとしているからだ。1日に10時間しか働けないので、社内メールを書くことによって、他の重要な仕事ができなくなると困ると考えているのだ。(195ページより) メールを1本読んで返事を書くには、少なくとも3分はかかるはず。仮にメールを1日100本受け取り、そのうち半分に対して返事を書かなければならないとすると、その処理だけで150分、2時間半かかることになります。そんなところからも、社内メールは少なければ少ないほどよいということがわかります。 読んでいないメールがたまると、重要な内容のメールを見逃してしまったり、処理が遅れたりするという弊害も考えられるでしょう。ドイツ人のなかには、不必要な社内メールを書かないようにしている人が多いそうですが、それはさまざまな負担を減らすためであるようです。 日本の会社に就職すると、「報告・連絡・相談」を略した「報・連・相(ほうれんそう)」を大事にするようにと教えられることがあるが、ドイツではそのようなことはない。 ドイツにも重要な会議の前の根回しが全くないわけではないが、日本ほど長い時間は割かない。取締役から平社員まで、「1日の勤務時間は10時間まで」という意識を持っているからだ。(195~196ページより) つまり仕事のプロセスではなく“限られた時間内で成果を生み出せるかどうか”が、仕事の善し悪しを判断するうえでの重要な物差しになっているということ。どれだけ社内でも連絡を密にしたとしても、成果が生まれなければ上司からは評価されないわけです。 そこで、社会全体の労働生産性を上げるため、日本でもメールの数はできるだけ減らすようにするべきだと著者は考えているそうです。顧客などに失礼のない範囲でメールを短くしたり、いちばん重要な内容だけを伝えることも大切だということ。それは、明日からでも始められる、身のまわりからの「働き方改革」のひとつだと考えることもできそうです。(194ページより) 人生は一度しかないからこそ、個人生活と仕事のバランス、つまりワークライフバランスを少しでも改善すべき。そうした考え方に基づいて書かれた本書を手にとってみれば、新たな働き方を見つけ出すことができるかもしれません。 >>Kindle unlimited、500万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: ぱる出版
印南敦史