「多様性尊重」で逆に炎上、残念ケース増える背景 「つくり出された炎上」多発、企業の対応も変わってきた
2024年もさまざまな企業で「炎上騒動」が起きた。それぞれの騒動の背景には、社会情勢や消費者心理の変化が透けて見える。印象深かった出来事を振り返りながら、2025年、企業にどんな消費者コミュニケーションが求められるのかを考察する。 ※記事の内容は東洋経済の解説動画「【企業の炎上事件簿】取り下げる・取り下げないの基準」から一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。 【動画を見る】企業の炎上事件簿 小林製薬、花王、マクドナルド、しまむらグループ/ジェンダーにまつわる炎上に変化/取り下げる・取り下げないの基準/「こたつ記事」の罪/2025年の炎上予測
■「男性差別」の指摘が相次いだ 倉沢美左(以下、倉沢):2024年もジェンダーにまつわる炎上が引き続き増えていると感じます。この領域で何か新しい傾向はありますか? 西山守(以下、西山):ジェンダー関連でいうと、これまでは女性の描き方について炎上することが非常に多かったのですが、最近は男性の描き方について炎上するケースが増えてきました。 象徴的だったのが、しまむらグループが展開するベビー・子ども用品店のバースデイの事例です。「パパはいつも寝てる」といった男性をいじるような文言の入った新商品シリーズを展開したことで、「男性差別だ」という批判を受け、最終的には販売停止に至りました。
もう1つ目立ったのは、牛角の女性限定半額キャンペーン。女性でもかなり限定的な層に向けて条件付きで行われたキャンペーンだったのですが、やはり「男性差別だ」という指摘が相次いだ事例です。 倉沢:企業の事例ではないですが、直近では「40歳を過ぎたパーカーおじさんはみっともない」といった発言でコラムニストの女性が炎上し、論争が巻き起こっていましたね。 西山:同じような話で、男性の体臭について言及したフリーアナウンサーの女性が炎上したケースもありました。
男性を下げる、批判するような発言によろしくない面があるのはもちろんなのですが、以前だったら比較的許されていたのも事実です。それは「男性が強い立場で、女性が弱い立場」という認識が世間で共有されていたからだと思うのですが、今は徐々に「男性も弱者じゃないか」という意識が強まってきており、たたきづらくなってきているわけです。 今後もこの傾向は強まる可能性があるので、女性を優遇するキャンペーンだったり、男性をいじるような広告表現だったりは、炎上が起きやすくなるという点で注意が必要です。