脂肪ゼロなのに塩分は2倍…栄養学の専門家が指摘する「生野菜×ノンオイルドレッシング」の意外な落とし穴
■簡単で便利な「電子レンジ×蒸し調理」 最近では、シリコン製スチーマーやジッパー付きバッグなどの電子レンジ用の調理器具が販売されていますが、こうした特別な調理器具がなくても大丈夫。耐熱皿に食材をのせ、水大さじ1程度をふりかけてふんわりとラップをして数分~数十分レンチンすれば、蒸し料理の完成です(水の分量と加熱時間は食材によって異なります)。 レンチンすることで、ビタミンの損失も防げます。じゃがいもを使って素材に含まれるビタミンCの残存率を調べた研究(*1)では、ゆでた場合のビタミンCは減少したいっぽうで、電子レンジで加熱した場合は生との差はありませんでした。電子レンジは素材に含まれている水分のみを利用し加熱するため、ビタミンCの流出が抑えられたと考えられます。 また、基本的に蒸し器を使った蒸し料理は加熱中に味つけができませんが、電子レンジを使った「蒸し煮」や「蒸し焼き」などは、食材に味をしみこませることもできます。 いずれにしても、「蒸す」という調理法は、野菜ととても相性がよいといえます。じっくり時間をかけて外側から加熱し、食材の持つ本来の味を引き出すと蒸し器での蒸し料理に、レンチンでの手軽な蒸し料理。好みに合わせて使い分けてください。 (注) (*1)荒井勝己, 泉澤有美, 北條勇平 (2018) じゃがいもの産地・品種および加熱法によるビタミンC含量の比較. 桐生大学紀要, 29, 111-113. ■みそ汁やスープで野菜の栄養を丸ごといただく 水溶性ビタミンであるビタミンCを含む野菜をゆでたり煮たりすると、ビタミンCは煮汁に溶け出してしまいます。野菜のビタミンCの損失について調べた国内の研究(*2)によると、ゆでた水菜のビタミンC残存率は54%、キャベツは29%でした。なんとももったいないですね。 前項の蒸し料理以外にも、この“もったいない”を最小限にする方法があります。それは、ゆで汁も食べてしまうこと。研究によれば、ゆでた食材とゆで汁を合計したビタミンCの残存率は水菜で86%、キャベツで80%でした。汁ごと食べれば、ビタミンCの損失を大きく抑えられるわけです。 葉酸などのビタミンB群も水溶性ビタミンです。ビタミンB群とビタミンCが豊富なほうれんそうなどの緑の葉野菜やあさつきなどのネギ、キャベツなどのその他の野菜は、汁ごと食べられるみそ汁やスープで摂取するのが賢い食べ方だといえるでしょう。 (注) (*2)宮川久邇子, 西伸子 (1971) 電子レンジの調理科学的研究 : 蔬菜類のビタミンCの損失について. 大阪市立大学家政学部紀要, 18, 15-18.