世界ツアーのCO2排出量59%削減&ファンのエネルギーで発電も。コールドプレイが有言実行
CO2だけじゃない
目標を大きく上回るCO2排出量削減とセルフ発電だけではありません。環境に配慮しているバンドとしても常に先を行くコールドプレイだけあって、他にもさまざまな取り組みをしています。 ・2023年に開催した18回の公演で消費した電力を、BMW特注のリサイクル蓄電バッテリーで供給 ・23団体と提携した専用アプリを利用し、ファンの移動を低炭素化。ファンの1/3が公共交通機関を利用するなど、排出量が前回のツアー比で48%削減。ファンの4%は徒歩か自転車で公演会場へ ・チケット売り上げの一部を用いて、世界24カ国で700万本を植樹。100平方キロの土地で緑を回復 ・グッズとして生分解と再利用、リサイクル可能なプラントベースのLEDリストバンドを使用。返却・再利用率は86%を達成 ・すべての公演に無料給水所を設置 ・再利用、リサイクル、生分解によって廃棄されるごみを72%削減 ・バンドメンバーやスタッフの飛行機移動で持続可能な航空燃料(バイオ燃料)を使用し、CO2換算で3000トンの温室効果ガス排出量を削減 ・ツアーの食事や備品を廃棄せず、フードバンクなどを通じてホームレスに9625食と90キロの洗面用具を寄付 ・DHLとの提携でツアー機材などの輸送による排出量を33%削減 お見事。2019年に「持続可能なコンサートができるようになるまでツアーを保留する」と宣言しただけのことはあります。 なお、削減した排出量にカーボンオフセット(排出量を気候や環境に良いとされるアクションなどを通じて相殺)は含まれていません。気候変動の影響はオフセットできないので、妥当だと思います。
批判にはゼロ釈明
それでも、排出量が多い飛行機でのメンバーや機材の移動を批判する声は聞こえてきます。ボーカルのクリス・マーティンは、「指摘はその通り」と言い訳はせず、それでも、「バンドにとってファンと直接つながれるコンサートは必要」として、ライブツアーを限りなく持続可能なものにするためにベストを尽くすと話しています。 演奏する側も見る側も、あの熱気や高揚はライブでしか得られませんものね。 コールドプレイのような大きなファンベースと影響力を持つ世界的なバンドだからできること、そして、そんな彼らでもできないことを発表する意味は大きいと思います。必要な速さで変化は起こっていないかもしれません。でも、変化の過程を透明化すれば、加速度的な変化の礎になるはずです。