「第2の給与」旧文通費【イチからわかる 政治とカネ】
国会議員には給与に当たる歳費とは別に、月額100万円の調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)が支給されます。「第2の給与」ともいわれ、領収書公開の義務がなく、使途は不明です。しかし、改革は道半ば。既得権益に切り込まれたくない議員の姿勢がにじみます。 【グラフ】衆院選への関心度 Q 旧文通費の改革のきっかけは。 A 2021年10月31日に投開票された衆院選で初当選した議員の10月の在職日数は1日にもかかわらず、満額100万円を受け取ったことが問題視されました。22年4月に日割り支給に改め、名称を調査研究広報滞在費に変更する改正国会法が成立しました。 Q その後の議論はどうなりましたか。 A 使途の公開や未使用分の国庫返納が課題として残っていましたが、与野党間の議論は滞っていました。ところが昨年12月、東京地検特捜部が自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の強制捜査に着手。与野党が政治資金規正法改正の議論を進める中、旧文通費が再び注目されました。 Q どういうこと? A パーティー関連の法改正に賛成を得ようと自民党総裁の岸田文雄首相(当時)が、旧文通費改革を訴えていた日本維新の会に接近。維新の馬場伸幸代表と旧文通費の使途公開や国庫返納の立法措置を講じるとの合意文書を交わしました。ただ最終的には、6月に閉会した通常国会では自民党が旧文通費の法改正を先送りし、改革は実現しませんでした。 Q 旧文通費はどういう使われ方をしているのでしょうか。 A 歳費法で「国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動」と使途を明記しています。自主的に使途を公開している一部の野党によると、光熱費、運送費、電話代などに充ているようです。使途の制約が事実上なく、「何に使っても許されるカネ」(与党議員)との声も聞かれます。改革が実現するかは不透明です。 Q 各党の衆院選公約は。 A 自民、公明両党を含む大半の与野党は公約に旧文通費の改革を掲げています。公約は国民との約束です。各党は速やかな法改正に取り組み、結果を出す責任があります。
中国新聞社