救急の日に開かれたイベントでは、約270人が救命技能講習を受けました

目の前で人が倒れたとき、どのように行動すればいいか知っていますか？　9月9日の「救急の日」、都内で開かれた救命技能講習に筆者が参加し、学びました。9月8～14日は、救急業務や救急医療への理解と認識を深める「救急医療週間」です。（withnews編集部・河原夏季） 【画僧】倒れたとき、そばにいる人にできることは

救命処置で助かる命

「分かりますか？」「大丈夫ですか？」 講習用に用意された人形の肩をたたき、意識があるかを確認する。 「胸骨圧迫（心臓マッサージ）を始めてください」という指導員の言葉と同時に、参加者が人形の胸の中心を強く、深く、一定のリズムで何度も押す――。 救急の日に東京都新宿区で開かれた東京消防庁救急フェア。救急車の適切な利用についてのトークイベントや救急隊が使う機材の展示、救命技能講習があり、約270人が参加しました。 筆者は過去に2度、講習を受けたことがありますが、最後に受けたのは数年前。AED（自動体外式除細動器）の取材をしていることもあり、改めて救命処置を学ぼうと申し込みました。 今回の講習は、心肺蘇生やAED、異物除去、止血法などを学ぶ「普通救命講習」です。 突然倒れた人がいた場合、居合わせた人が一刻も早く胸骨圧迫やAEDを使って救命処置をすることで、助かる可能性が高まります。 講習では、応急手当の三つの目的「救命」「悪化防止」「苦痛の軽減」や、救急車の現場到着時間などの説明を受け、心肺蘇生を実践しました。

倒れている人を見つけたら

倒れている人を見つけたらまず、周囲の安全を確認してからそばに駆けつけます。周囲が危険な状況でないという想定のもと、次の手順で講習が進められました。 1.倒れている人の肩をやさしくたたき、大きな声で「分かりますか？」などと呼びかける 2.反応がない・分からない場合は、「誰か来てください！　人が倒れています」などと応援を求め、「あなたは119番通報してください」「あなたはAEDを持ってきてください」と依頼。具体的に指名すると相手が行動に移しやすい 3.倒れている人の胸とおなかの動きを見て、普段どおりの呼吸をしているか確認。感染症が流行っているときは顔を近づけすぎない。顔にハンカチなどをかけて処置をしてもよい 4.呼吸がない・あるかどうか分からない場合は、すぐに胸骨圧迫（心臓マッサージ）を始める。倒れている人が大人の場合、1分間に100～120回のテンポで、胸が約5cm沈むまでしっかり体重をかけて押す 5.訓練を積んで技術と意思がある場合は、胸骨圧迫を30回したあとに2回人工呼吸をする。AEDが届くまで続ける 6.AEDが届いたら電源を入れる。ふたを開けると自動で電源が入る機種もある 7.音声ガイダンスに従って倒れている人の素肌に電極パッドを貼る。貼る位置は胸の右上（右鎖骨の下）と、胸の左下（脇の5～8cm下）の2カ所。パッドにもイラストで貼る位置が描かれている 8.AEDが電気ショックの必要性を判断する。心電図の解析中は倒れている人にふれない 9.電気ショックが必要だと判断された場合、AEDのショックボタンを押す。自動で電気ショックを行うオートショックタイプの機種もある 電気ショックを実施したあとも、AEDの音声に従って処置を繰り返します。救急隊に引き継ぐか、何らかの反応が出てくるまで胸骨圧迫などを続けます。