本当は狭い場所が不得意? アバルト500e 長期テスト(2) ON/OFFスイッチのようなペダル
スポーツカーより連続する狭いカーブは楽しめる
駆動用バッテリーの容量は42kWhと小さく、車内空間はタイトで、長距離ドライブに向いたモデルではないだろう。一方で、低速域でのこれらの不満を考えると、走行距離の短い市街地移動に向いているとも表現しにくい。 それでも、アバルト500eを楽しめる場所はある。ロンドン郊外を一周する高速道路、M25号線より外側に広がる、適度な起伏のある大地へ伸びる一般道が、かなり理想へ近いと感じた。 コンパクトなサイズを活かし、内燃エンジンを積んだ純粋なスポーツカーより、カーブが連続する狭い区間との親和性は間違いなく高い。過度に飛ばすことなく、運転を楽しめる。速度域が高くないから、電費が大きく悪化することもない。 ロンドンから遠く離れているわけでもないから、帰路のための充電を心配する必要もない。ここなら、500eの真価を発揮できるように思った。 グッドウッド・サーキット周辺に広がる、走り応えのある一帯を目指した時は、辿り着く前に駆動用バッテリーの40%を消費してしまった。充電を考えていなかった筆者は、帰り道を抑えめに走ることになった。 数kmだけだが、畑から出てきたトラクターの後ろを走ることになっても、追い越す気にはならなかった。50km/hなら、電費も伸びるから。
テストデータ
■気に入っているトコロ 駐車アシスト:小さいクルマだから、本来なら駐車アシストの必要性はそこまで高くない。ところがペダル操作の反応が唐突だから、とても有効。 ■気に入らないトコロ 電動ハンドブレーキ:ハンドブレーキの解除に時間がかかる。きしむような音も出る。 ■テスト車について モデル名:アバルト500e ツーリスモ(英国仕様) 新車価格:3万8195ポンド(約726万円) テスト車の価格:3万8795ポンド(約737万円) ■テストの記録 電費:5.8km/kWh 航続距離:244km 故障:なし 出費:なし
フェリックス・ペイジ(執筆) 中嶋健治(翻訳)