EU、中国製EVへの追加関税を正式承認 代替案巡る協議は継続
Philip Blenkinsop [ブリュッセル 29日 ロイター] - 欧州連合(EU)は、域内諸国で意見が分かれた反補助金調査を終了し、中国製の電気自動車(EV)に対する関税を最大45.3%まで引き上げることを決定した。 従来の10%に加えて7.8─35.3%の関税を徴収する。追加関税は29日に正式承認され、30日に発効する。 EUの欧州委員会は、優遇融資や補助金、市場価格を下回るバッテリーなどに対抗するため関税が必要だと主張している。 中国のEV生産能力は年間300万台で、EU市場の2倍に相当するという。米国とカナダの関税が100%であることを踏まえると、中国製EVは欧州向けが多い。 在EUの中国商工会議所は「保護主義的で恣意的」なEUの措置に深く失望したと表明。関税に代わる措置を模索する協議に実質的な進展がないことにも失望感を示した。 中国はこれまでにEUの関税が保護主義的で、EUと中国の関係や自動車のサプライチェーン(供給網)に影響を与えると指摘し、EU産のブランデーや乳製品、豚肉を対象に独自調査を開始するなど報復とみられる動きを取っている。 今月4日に行われた関税に関する採決では加盟国のうち10カ国が賛成、5カ国が反対、12カ国が棄権した。経済規模が域内最大で自動車の主要生産国であるドイツは反対した。 ドイツ経済省は29日、現在進行中のEUと中国の交渉を支持するとし、EUの産業を保護しながら貿易摩擦緩和に向けた外交的な解決を望むと述べた。 欧州委は関税の代替案を見つけるため、中国と8回にわたって技術的な交渉を行っており、関税導入後も協議継続は可能だとしている。 双方は輸入車に最低価格を設ける案などを検討しており、さらなる交渉を行うことで合意した。ただ、欧州委は「大きな隔たりが残っている」としている。