プレサンス事件担当の特捜検事、刑事裁判へ 「威圧的な言葉で供述を無理強い」大阪高裁が無罪の元社長の請求認める決定
大阪地検特捜部に逮捕され、のちに無罪となった不動産会社の元社長が、捜査に関わった検事を刑事裁判にかけるよう求めた「付審判請求」について8日、大阪高裁が認める決定を下したことが分かりました。 大阪市の不動産会社「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さん(61)は、学校法人の土地取引を巡る業務上横領の容疑で大阪地検特捜部に逮捕され、2021年に無罪が言い渡されました。 山岸さんは、当時の担当検事が元部下への取り調べで怒鳴りつけるなどしたとして、特別公務員暴行陵虐の容疑で刑事告発しましたが、地検は不起訴としました。 山岸さんは、不起訴は不当として公務員の職権濫用などの罪に関して刑事裁判を開くよう求める「付審判請求手続き」を申し立て、大阪地裁は3月検事の言動は「強い非難を向けるべき」と認めたものの請求自体は棄却し、山岸さんが大阪高裁に抗告を申し立てていました。 大阪高裁は8日の決定で、担当検事が取り調べで「約50分間にわたり、ほぼ一方的に責め立て続けた」とした上で、山岸さんの元部下に「威圧的な言葉を交え、人間性に問題があるという趣旨の侮辱的な発言をしており、事実を引き出すやりとりというより、威迫して検事の意に沿う供述を無理強いしようと試みている」として、地裁の決定を覆し請求を認めました。 この決定に対し、山岸さんの代理人の中村和洋弁護士は「今回の審判決定は画期的な判断であり、刑事司法の歴史が変わると言っても過言ではない」「検察庁全体として大きく反省し、組織としての在り方を改めるべきだ」と述べました。 山岸さんは弁護士を通じて「公正なご判断をいただけたと考えており、大阪高等裁判所には感謝いたします。この判断が検察改革の第1歩になることを強く望んでいます」とコメントしています。
ABCテレビ
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