「視力1.5でも失明するかも」眼科医が眼底検査をすすめる訳
視力検査は毎年やるのに、眼底検査は受けたことがない、という人もいるかもしれません。じつは目の病気は、失明寸前まで視力が変わらないことも珍しくありません。だからこそ「眼底検査が大事」と、眼科医は警鐘を鳴らします。 【画像】10問でわかる!目の機能低下に関するチェックリスト(2つ以上該当したら受診を)
■“健康診断でひっかからないから”では済まされない「緑内障」 いつの間にか、目は衰えていきます。「ずっと視力1.5だし」といった視力自慢も、もしかしたら目の病気が進行しているかもしれません。その最たる病気が緑内障です。
「視野が徐々に欠けていく緑内障は、異常に気づかないまま失明寸前まで進行してしまう恐ろしい病気です。一度見えなくなってしまった視野は、元に戻りません。」 そう話すのは、日本眼科医会の加藤圭一医師です。日本緑内障学会が岐阜県多治見市でおこなった調査では、40歳以上の20人に1人が緑内障に罹っていることが判明。さらに、緑内障が見つかった人のうち、およそ9割の人が異常に気づいていなかったといいます。
「緑内障のリスクが高まる40代で早期発見し治療を開始できれば、早く緑内障の進行を抑えられるため、生涯、自分の目で見られる期間を引き延ばすことができます。40代といえば新聞の文字が見えづらくなるなど、老眼の症状も気になり始める年代です。いままで以上に自分の目を労り、検査を受けていただければと思います」
■「眼底検査」で動脈硬化や高血圧が見つかることも 目の病気を早期発見するためには、視力検査だけでなく「眼底検査」を受ける必要があると加藤医師はいいます。
「視覚障害に至る病気の8割は、緑内障をはじめとする眼底(目の奥の部分)の病気です。しかし、そのほとんどの病気は末期になるまで視力が低下しないため、視力検査だけで発見するのは難しいんです。たとえば、緑内障の場合は末期まで視力検査で1.5が出ます。『見え方がおかしいな?』と気づいたときには、病気が進行して失明寸前になっていることも、珍しくありません。 だからこそ、『眼底検査』を受けていただきたいと思います。眼底検査は、眼底鏡や眼底カメラを使って、目の奥の血管や網膜、視神経を調べる検査です。目に光を当てるので少しまぶしいですが、まったく痛みはなくすぐに終わります」