コンビニバイト苦労人ボクサー黒田雅之が“怪物”井上尚弥との150回スパーを自信に変えて6年ぶり2度目世界挑戦
プロボクシングの前日本フライ級王者の黒田雅之(32、川崎新田)が5月13日に後楽園ホールでIBF世界同級王者のモルティ・ムザラネ(36、南アフリカ)に挑戦することが18日、都内のJBCで発表された。この試合は指名試合。黒田は同級4位だが、現在、1、2位が空位で挑戦者決定戦を3位の選手がキャンセルしたため、黒田に指名挑戦者のチャンスが回ってきた。黒田にとって2013年2月にWBA世界フライ級王者、ファン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)に判定負けして以来、6年ぶりの大舞台となる。
新元号最初の世界王者に
現役時代、国立大出身の東洋太平洋王者として知られたアイデアマンの新田渉世会長(51)が会見の冒頭でニュースを提供してくれた。 川崎新田ジムはジム名に「川崎」とつけるほど地域密着を掲げているジムで、黒田が世界王者になれば川崎初の栄誉となること、川崎関連の3つの親善、観光などの“大使”を請け負っていること、黒田は中学まで剣道をやっていて2段の腕前のため、元WBC世界スーパーフライ級王者、川嶋勝重(当時大橋ジム)の許可を得て“ラストサムライ”の名称を継承したことなどを明らかにした。 黒田は、元日本ライトフライ級、フライ級の2階級王者で30勝(16KO)7敗3分けの戦績を持つ14年目のベテラン。マニアで知らない人はいないが、全国的には無名のため、世界戦前に、なんとか付加価値をつけようという、こういう努力には、まったく頭が下がる。 黒田は黒田で「僕は昭和生まれ。元号は5月1日から変わる。13日までに世界戦がなければ、僕が新元号最初の世界王者になる」と、この世界戦の“キャッチ”を口にした。記者は色々あって記事のタイトルに困るほどである。 黒田は一度世界挑戦をしている。のちに元3階級王者の井岡一翔と2度の激闘を戦うレベコに0-3の判定で完敗した。 あれから6年。 「あっという間だった。6年かかってここに戻ってきた。戻ってきただけでなくその上を行く。あのときはあの舞台で戦う意味もわからず、フワフワして足元が定まっていなかった。でもあの時の自分とは違う。想定外のことが起きても動じず精神的にしぶとくなりボクシングの幅も広がった」 再起後は日本フライ級王者、村中優(フラッシュ赤羽)に挑戦して倒され、メキシコ遠征の試合でも敗れ、日本王座に再挑戦した粉川拓也(宮田)との試合にも判定で敗れた。何度も引退と向き合ったが、2017年2月にユータ松尾(ワールドスポーツ)との日本フライ級暫定王座決定戦に判定勝利して、粉川との統一戦も制すると、その後も連勝を続け、やっとの思いで世界再挑戦チャンスをつかんだ。