【毎日書評】もったいないビジネスパーソンは決まって「プレゼンス」が足りない
『「存在感」はつくれる』(大塚ちづる 著、フォレスト出版)の著者は、日本の総合商社勤務を経て、米国投資銀行ゴールドマン・サックスの東京支社、ニューヨーク支社とアジアパシフィック支社で約20年勤務してきたという人物。 その過程においてはさまざまなビジネスリーダーと関わり、アドバイザーとして5000人以上におよぶグローバル人材の育成・管理に携わってきたのだそうです。 そんな私がビジネスパーソンのコーチングにおいて最も重視しているのが、「プレゼンス」です。プレゼンスとは、直訳すると「存在感」ですが、その場にいるだけで議論をコントロールしてしまう、直接話していなくても信頼してしまう、つい仕事をお願いしたくなってしまう、そういった「影響力」もプレゼンスに含まれます。(「プロローグ」より) もちろん、第一印象もまた重要なプレゼンスのひとつ。なぜなら第一印象や「周囲からどう見られているか」は、キャリアアップや転職において欠かせない要素だともいえるからです。 しかも自分の本当の可能性が他人の目からは見えないからこそ、その可能性を持っている人間だと相手に思わせることが大切なのだと著者は主張しています。 もう一つ、ビジネスにおけるプロとは、エキスパートであることを他人にしっかり伝えられる人だと思います。プロの仕事をすれば良いわけではありません。第一印象からプロであることが必要だということです。(「プロローグ」より) つまり著者は、プレゼンスの大切さを理解してもらおうという思いから本書を執筆したわけです。ポイントは、日本の外資系企業で働く“もったいない人材”が、ニューヨーク帰りのメンターによってプレゼンスを磨かれ、本当の自分の可能性を発揮していくというストーリー仕立てになっている点。そのため読者は、プレゼンスの重要性を無理なく理解できるわけです。 きょうは第4章「人に理解されるためのコミュニケーション」のなかから、その解説部分に注目してみたいと思います。