悪夢の少数内閣が始まる 総裁選、もし林氏や加藤氏が高市氏に勝てば…党内「分裂」も 自民党再生のため石破さんは辞めた方がいい
【ニュース裏表 平井文夫】 石破茂首相は28日の記者会見で続投する考えを明らかにした。理由は「国政は一時たりとも停滞が許されない」ということなのだが、「いや、あなたは国民に信任されなかったので、少しくらい国政が停滞してもいいから誰か別の人に代わってください」と思う人はいないのだろうか。 【写真】「もっと下に…下に」“半ケツ”状態でビラ配りをするボランティア女性 仲間の4分の1が落選し、「勝敗ライン」の与党過半数を下回った首相がなぜ居座るのか。ただ、石破首相本人も居座りたくて居座っているのではない。居座らねばならぬ理由がある。 野党第一党、立憲民主党の議席は大幅増の148議席なのだが、これに日本維新の会の38、国民民主党の28を足しても214で233の過半数には届かず、れいわ新撰組の9、共産党の8を足しても届かない。 つまり、野党だけの連合で政権は取れない。だから、開票当日夜のテレビ出演で、立憲民主党の野田佳彦代表は、自民党の一部が割れて野党連合に参加することを期待する口ぶりだった。 だが、それは無理なのだ。党の分裂は自民党も立憲民主党(前身の民主党)も以前経験してひどい目にあっている。「分裂だけは損するから、やっちゃダメ」というのは与野党の共通認識だ。 もし、石破氏が辞めたら自民党は11月11日召集の特別国会での首相指名選挙の前までに新総裁を決めなければならない。フルスペックの総裁選をやる時間はないので両院議員総会で議員のみの投票で行われる。 本来なら、前回の総裁選で石破氏に惜敗した高市早苗前経済再生相が「本命」のはずなのだが、執行部の菅義偉副総裁や森山裕幹事長、さらに石破首相誕生の影のキングメーカーである岸田文雄前首相らは気が進まないだろう。 高市氏を応援した人たちの多くが、今回の衆院選で落選している。もし執行部が林芳正官房長官とか加藤勝信財務相を立てて高市氏に勝つようなことがあったら、党内の「分断」はさらに進むし、それが「分裂」に発展しかねない。 自民党は主流派も非主流派も、絶対に「分裂」だけは避けなければいけないことを分かっている。高市氏や安倍派周辺から「石破おろし」の声があまり上がらないのはそういうわけなのだ。つまり石破氏はとりあえず今は辞められない。