片岡愛之助、顔面骨折 京都・南座で稽古中、降下するパネルに強打 1日初日「吉例顔見世興行」降板
歌舞伎俳優の片岡愛之助(52)が、京都市の南座で1日初日の歌舞伎公演「吉例顔見世興行」の舞台稽古中に鼻と上顎を骨折した。全治は分かっていない。松竹が30日、発表した。同興行は、師走の京都の風物詩。愛之助は昼の部で「大津絵道成寺(おおつえどうじょうじ)」、夜の部で「色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)」に出演予定だったが、当面休演。2作は代役で上演する。 愛之助は11月29日午前11時頃、「大津絵道成寺」の稽古中に、舞台の7メートル上から降下してきた木製パネルと接触した。パネルは幅2メートル×高さ1メートル、雲の絵が描かれていた。重さは分かっていない。愛之助がパネルの後ろで衣装の早替わりをする場面だったが、大道具担当とタイミングが合わず、後ろに行くまでに下りてきたパネルで顔面を強打したとみられる。 同作は、演者が藤娘から鷹匠、座頭、船頭、鬼へと5役を衣装の早替わりで演じる人気作。上方ゆかりの演目でもあり、今回も注目を集めていた。事故は鷹匠から座頭に替わる場面で発生。暗転はしていなかった。愛之助は稽古を続けたが、終了後、南座が用意した車で病院で診察を受けた。鼻骨と、上顎のこめかみに近い部分の骨折とみられる。 連絡を受けた妻で女優の藤原紀香(53)は、滞在していた東京から29日中に愛之助の元へ駆けつけた。歌舞伎関係者は「役者の命とも言える顔のケガ。状況次第ではスペシャルな医師を探さなくてはならない」と話した。愛之助は30日、別の病院で改めて診察を受けた。「食事も取れて、話もできている」という。公演は今月22日が千秋楽で、経過次第で途中から出演する意向も見せているという。 愛之助は来年1月5日スタートのNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」に、主演の横浜流星(28)のライバルという重要な役どころで出演。年内の撮影は終了しているが、制作関係者からは「ドラマは顔のアップがあるから…」と心配の声も上がる。2月には大阪松竹座での歌舞伎公演に出演予定。売れっ子だけに影響が懸念される。 ≪中村壱太郎と萬太郎が代役≫愛之助の代役は「大津絵道成寺」が中村壱太郎(34)、「色彩間苅豆」は中村萬太郎(35)が務める。また顔見世興行に出演する片岡孝太郎(56)は30日、ブログに「彼とも朝からLINEしました。愛之助の早期完治、南座の大入りをお祈りよろしくお願い申し上げます」と書き込んだ。南座の前では心配そうなファンの姿も。京都市の81歳女性は「ケガは大きいの?大丈夫なの?」、滋賀県の50代夫婦は14日に観劇予定で「愛之助さんの五変化を楽しみしてたのに」と残念がった。 【主な歌舞伎のケガ】 ◇市川染五郎(現松本幸四郎)2012年8月27日、東京・国立劇場で日本舞踊松本流の公演中に舞台セリから約3メートル下の奈落に転落。右手首と肋骨を骨折し、右側頭部と右半身を打撲。同年11月のNHK BS時代劇「妻は、くノ一」の収録で仕事復帰し、13年2月の東京・日生劇場公演で舞台復帰。 ◇市川猿之助 17年10月9日、東京・新橋演舞場でスーパー歌舞伎2「ワンピース」公演中に衣装の一部が舞台の昇降装置に巻き込まれ、左上腕と前腕、指の3カ所を開放骨折。18年1月の東京・歌舞伎座公演で舞台復帰。 ◇尾上菊之助 19年12月8日、東京・新橋演舞場で歌舞伎「風の谷のナウシカ」の公演中にトリウマというキャラクターから落下し、左肘を亀裂骨折。夜の部の公演を急きょ中止し、翌日の公演から復帰。