【記者ルポ】2号機打ち上げ失敗も「次が事業成否のカギ」民間ロケット『カイロス』3号機はいつ飛ぶ?和歌山・串本の民間飛行場が抱える課題も―
■年間20回打ち上げは可能?串本が抱える「天候」と「船舶・航空」の問題
スペースワンは、小型衛星を宇宙に運搬する事業化を目指し、2020年代中に1年あたり20回の打ち上げを計画している。今回のカイロス2号機の打ち上げでは、天候条件などを理由に、直前になって2度延期された。年間20本打ち上げるためには、少なくとも平均月に1~2回の打ち上げを行う想定になる。 和田教授は、「上空の強風による延期も、試験機と考えれば『大事をとっての判断』と納得がいく点がある。しかし、ロケットの打ち上げに成功し、いよいよ量産体制に入ったとなったときに、今回の串本上空と同じような天候条件で中止の判断をせざるを得ない機体の強度であるならば、年間20本の打ち上げという点においては疑問が残る」と指摘する。 さらにロケットの打ち上げ予定時刻が、これまで20分間の間に設定されていることが一般的なロケットと比較するとかなり短いため、打ち上げ直前の調整には「かなりの厳しい環境」だという。 (和歌山大学・秋山演亮教授) 「やはり串本の周辺海域は船舶が多く行き交い、航空法の点からも調整が多数必要になってくる。年間20本の打ち上げで初号機、2号機の打ち上げの際と同等の警戒態勢をとれるのか、調整と資金の両面で不安が残る」 度重なる挑戦から導き出されるデータは、成功への扉を開くカギとなるのかー。次の3号機の打ち上げでは、さらなる期待と民間ロケット事業成功へのプレッシャーがかかる重要な局面になるだろう。