2024年、注目の展覧会12選。
●『森の芸術祭 晴れの国・岡山』(2024年9月28日~11月24日)
岡山県北部で新しく開かれる芸術祭。長谷川祐子〈金沢21世紀美術館〉館長をアートディレクターに迎え、津山城など歴史・文化が集積する津山・津山城周辺エリア、奥津渓など豊かな自然環境に恵まれた鏡野・奥津エリアなど6つのエリアで開催する。参加作家はアーティストのAKI INOMATAや太田三郎、華道家の片桐功敦、ダンサーの森山未來、建築家の妹島和世ら多彩な顔ぶれだ。海外からもリクリット・ティラヴァニ、ジャコモ・ザガネッリ、キムスージャらが作品を見せる。 開催エリアには磯崎新設計の〈奈義町現代美術館〉、隈研吾設計の〈GREENable HIRUZEN〉、1917年に建てられた病院を改修した〈城西浪漫館〉など建築的な見どころも多い。日本棚田百選にも選ばれた「大垪和西(おおはがにし)の棚田(美咲町)」や、全長450メートルの鍾乳洞「満奇洞(新見市)」など自然の景観も楽しめる。それぞれのエリアの特産品による特製パフェも。欲張りな楽しみ方ができる芸術祭だ。
●『テレンス・コンラン:モダン・ブリテンをデザインする(仮)』(2024年10月12日~2025年1月12日)
「生活の質に意識的になること」。デザイナーであり、それまでどこにもなかったタイプのショップ「habitat(ハビタ)」の経営者でもあったサー・テレンス・コンラン。日本でも1994年に西新宿に、直近では2023年11月に〈麻布台ヒルズ〉にオープンした〈ザ・コンランショップ〉で知られている。レストランやカフェなども手がけ、食文化を始めとするイギリスの暮らしにも影響を与えた。
彼が提案し続けたのは誰もがクオリティの高い生活を送れるようにすることだ。そのために彼は「Plain、Simple、Useful」というキーワードが重要だと考えていた。無駄のない、シンプルで機能的なものだけが質の高いライフスタイルを可能にするのだ。 この展覧会はコンランの世界観とその功績を紹介するもの。展示デザインやグラフィックもその内容にふさわしいクリエイターが起用される。日本とも深い関わりがあった彼が現代のデザインカルチャーに及ぼした影響を俯瞰できる。