初めてのシーズン「監督からの問いに僕の考えを伝えるも……。自分の考えの甘さがよ~く分かりました(苦笑)」【宮城大弥の一生百錬 僕が僕であるために】
新型コロナ禍で得た時間
中嶋監督[写真左]をはじめ、ファームでいろんなことを学び、刺激を受けた1年目[写真右]。終盤には一軍で登板できて、初勝利を挙げられるなんて考えてもいませんでした
ビュン、ビュン──。キレ、スピードがあり、重そうなボールが目の前を通過していく。これが一軍で先発ローテを任されるピッチャーのボールなんだ。そう思ったことを、はっきり覚えているんです。投げているのは山岡(山岡泰輔)さん、由伸(山本由伸)さん。自分とのレベルの違いを感じつつ、『こうならないといけない』『これを目指すんだ』という1つの指標ができたんですよね。 あっ、スミマセン。つい先走ってしまいました……。前回の続きです。野球で生きていく。プロで勝負する。そう決めた僕は、プロの世界に飛び込む中で期待7割・不安3割、ワクワク、ドキドキのほうが大きかったんです。でも、キャンプに入ると、この割合が日によって変わり……。不安な気持ちになる日もあれば、期待がふくらむ日もあって。ブルペンに入ったり、実戦で投げたり、いろいろなメニューをこなしていく中で、うまくいくこともあれば、そうではないこともある。しっかり体を使えて、納得のいくボールが投げられた日は、自分への期待も上がるけど、そうでなければ不安が募っていったんです。僕は結構、ネガティブな人間なんですよ(苦笑)。 そんなキャンプを終え、オープン戦に入ったタイミングで開幕の延期が発表されました。新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が発令され、開幕も延期。1年目に向け、はやる気持ちもありましたが、ここで得た時間は、今振り返るとすごくいい時間だったと思うんです。というのも、一軍で活躍する先輩たちの練習を間近で見られたから。キャンプ地も同じ宮崎でしたが、A班、B班に分かれて同じ時間に練習するため、じっくりと見ることはできなかったんです。 緊急事態宣言が明け、シーズン開幕に向けて選手寮や練習場がある舞洲で先輩たちも汗を流していました。せっかくの機会。当然、僕は見学するために足を運ぶと・・・
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週刊ベースボール