“日本一曲がらない男”を救ったスリクソンの新ドライバー 稲森佑貴が不調から脱出?「悩みながらの試合だった」
<パナソニックオープン 2日目◇20日◇有馬ロイヤルゴルフクラブ(兵庫県)◇7100ヤード・パー72> 芯に当たる! 稲森佑貴の芯ドライバー【写真】 カットライン上で最終18番を迎えた稲森佑貴。グリーン奥のエッジから打った15ヤードのアプローチは、1メートルショートした。「緊張しかなかった。手が震えました」とパーパットを静かに決めると、固かった表情が緩み、笑顔を空に向けた。トータル5アンダー・49位タイで3試合ぶりに決勝ラウンドへ進んだ。 開幕戦から8月の「横浜ミナト Championship ~Fujiki Centennial~」までの12試合では、「日本プロ」の2位を含めてトップ10入りが3回。「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」ではトップタイ発進を決めるなど、安定感のあるゴルフを展開していた。 しかし、「ドライバーがつかまらなくなって、悩みながらの試合だった」と得意クラブが不調に陥り、「Sansan KBCオーガスタ」で予選落ち。悪天候の影響で36ホールに短縮された翌週の「フジサンケイクラシック」は完走するも、「Shinhan Donghae Open」「ANAオープン」はともに予選敗退。苦しい状況が続いていた。 そんなとき、契約をしているスリクソンから新しいドライバー『ZXi』シリーズが登場した。『ZXi』『LS』『TR』『MAX』と4種のラインナップとなっているが、稲森は小ぶりでややディープなヘッドの『ZXiTR』を選択。これが転機となった。 前戦のANAオープンでテストし、「ヘッドが走ってくれる。芯を外しても球の打ち出しが速く感じる」と好感触を得て即投入となった。同大会ではまだ馴染みきらずに予選通過とはならなかったが、変更して2試合目の今大会で成果が出た。 稲森が最も魅力を感じたのは芯への安心感。「前のドライバーよりも芯をくう感触が本当にあって、前より芯のエリアが広くなった気がする。(これまで)今回みたいな劇的な変化は感じたことがなかったかもしれない」と目を輝かせる。さらに、シャフトの硬さを『6X』から『6S』に変更。「少し柔らかくしてつかまえられるようにしたいと思った。そうしたらキャリーの距離が伸びました」と以前よりも弾道が高くなり、飛距離もアップ。納得のいく弾道が試合で打てるようになり、「久しぶりに安心して振れるようになりました」と安どの表情を見せた。 復調の兆しが見えている今、目指すはもちろん上位フィニッシュ。10月にはディフェンディングチャンピオンとして挑む「ACNチャンピオンシップ」、2勝を挙げている国内メジャー「日本オープン」が待っている。そこで自身の強みを発揮できるためにも、今週はニュードライバーともに“完全復活”を目指していく。(文・高木彩音)