「函館のサツマイモ」振興に女性部奮闘 こだわりの加工品で販路拡大
北海道のJA函館市亀田女性部が作る、サツマイモの加工品が好評だ。近年、道内でも栽培が増えるサツマイモの販路拡大へ、地元産を使ってこだわりの干し芋に加工。規格外の芋もペーストで販売し好調だ。今年からペーストにする品種も増やし、オレンジや紫などのカラフルな商品展開で販売を加速する。 JA管内では、道渡島農業改良普及センターなどの働き掛けで2016年からサツマイモ栽培が始まった。以前から加工事業を手掛けてきた女性部も、地域ならではの商品になるとみて、加工に着手。試作を重ね、21年に干し芋「函館育ち。ほっ、とおいしいほしいも」を商品化した。 現在、サツマイモの加工事業に参加している部員は10人で、栽培もしている。調理機器や冷蔵設備のあるJAの加工施設で作り、干し芋の製造量は335キロ(23年実績)、ペーストの製造量は255キロ(同)だ。 干し芋は、冬から農作業が本格化する前の3月ごろまでに加工する。原料には「べにはるか」「シルクスイート」の他、実の色が濃い安納芋、紫色の「パープルスイートロード」などを使い、色合いはさまざま。透明のパッケージに複数品種を詰め、色合いが分かるように販売。色味だけでなく、安納芋はカロテン、「パープルスイートロード」はアントシアニン、ポリフェノールといった栄養面にも着目して製品化した。
「これからも感覚を生かして」
女性部の安川満江副部長は「毎年、直売所での売り出しの季節には『楽しみにしていた』と声をかけられる」と人気ぶりを説明する。市内のJA直売所「ファーマーズマーケット亀ちゃん」の他、コープさっぽろなどで販売されている。 干し芋に向かない規格外品はペーストに加工する。無添加にこだわっている点が特徴で、自然な甘味があり、料理の材料にも向く。洋菓子や和菓子店など3、4社に販売して好評で、直売所でも販売している。 ペーストはこれまで「シルクスイート」だけだったが、今年から安納芋や「パープルスイートロード」も加わった。色合いの異なるペーストがそろい、より多様な加工ニーズに応える。 安川副部長は「これからも女性部の感覚を生かしてさまざまなチャレンジをしたい。活動を見てもらうことで、新入部員も増えてほしい」と期待する。
日本農業新聞