ラグビーTL開幕戦にファン殺到!復権狙う東芝が昨季2位サントリーを撃破。”闘将”リーチ、松島幸太朗らW杯戦士は、そこに何を感じたのか?「子供達の憧れの存在に」
パントの落下地点を目指して突進してきた、リーチ・マイケルが宙を舞う。がっちりとボールをキャッチした瞬間に、待っていましたとばかりに、秩父宮ラグビー場に重低音のコールが鳴り響いた。 まだ色濃く記憶のなかに焼きついている、日本中を熱狂させた昨秋のラグビーワールドカップ。日本代表の破竹の快進撃に導かれるかのように、キャプテンのリーチがボールを持って突進するたびに自然発生的に沸き起こったコールが、いつしかスタジアム全体の合言葉になった。 「リーーーーーーーーーチ」 12日に待望の開幕戦を迎えたトップリーグ2020。桜のユニフォームから東芝ブレイブルーパスのそれへ、日本代表のフランカーからナンバー8へポジションを変えてサントリーサンゴリアス戦で先発したリーチに、スタンドが一体となったコールが初めて降り注いできたのは前半10分だった。 「今日はボールを持つ機会が少なかったんですけど、リーチコールはしっかり耳に入りました」 実はギリギリで開幕戦出場を手繰り寄せていた。準々決勝までの5試合を戦ったワールドカップ後にコンディションを崩し、東芝合流後に3週間ものリハビリを余儀なくされた。 当初は昨年12月28日に行われた、トヨタ自動車ヴェルブリッツとのプレシーズンマッチ最終戦に出場。サントリー戦へ向けて状態を上げていく青写真を描いていたが、試合出場どころかベンチにも入れなかったリーチは、今月6日の全体練習からようやく完全復帰したばかりだった。 急ピッチで仕上げたにもかかわらず、最後までサントリー戦のフィールドに立ち、2シーズンぶりにあげた開幕戦勝利の瞬間をチームメイトたちと共有した。キックオフへ向けてフィールドへ足を踏み入れた瞬間に飛び込んできた光景がアドレナリンを増幅させ、モチベーションをも一気に高めていた。 「僕にとってトップリーグでの経験は今年で9年目ですけど、初めて見る光景でした。今回のワールドカップでたくさんのファンを増やしたことを、とても嬉しく思っています」