久保田早紀から久米小百合へ 大ヒット曲「異邦人」と歩んだ38年といま
聖書には好きな登場人物がたくさんいるが、たとえばイエスの弟子の一人、ペトロには愛着を感じるという。多少乱暴な言い方になってしまうが、新約聖書には直情的で動揺しやすかった人物像が描かれている。イエスのためにいつでも命を捨てる覚悟だと誓う一方で、弟子であることを三度も否認したり、といったエピソードで知られる。 「ちょっとおっちょこちょいというんでしょうか、そういう、人間的なところがいいんですよね」 芸能界では、異邦人だった久米。しかしそこから離れて、神がかった世界へ行ったわけではない。久米が一貫して大事にしてきたのは、人間的な、人と人との営みで、そこに久米にとってのキリスト教も存在しているように感じられる。 「生活の中で、賛美歌も気軽なBGMになったらいいなと思っていて。襟を正して聞かなきゃいけないっていうものでもないので」 クリスマスのコンサートは、最新アルバム「7CARATS+1」で共に美しいメロディーを作り上げた本田路津子、KISHIKOらとともに行うゴスペル界のレジェンドライブ。それぞれの代表曲、久米の「異邦人」も披露される。クリスマスムードたっぷりの楽しいひとときになりそうだ。 (取材・文・撮影:志和浩司)