日本経済を活性化させる起爆剤「配当の損金算入」を今すぐ可能にすべき理由【マネックスグループ会長・松本大氏が解説】
人口減少が止まらず、このままいくと経済水準が低下し国際社会におけるポジションも危うくなるであろう日本。本記事では『松本大の資本市場立国論』(東洋経済新報社)から、著者の松本大氏が、日本経済を復活させるための即効性のある株価対策として、「配当の損金算入」を認めるべき理由を解説します。 「日本」「中国」「韓国」の合計特殊出生率の推移…1990年~2020年
今の日本経済には即効性のある株価対策が必要
株価水準を大きく上げて、経済を活性化したいのであれば、ダイレクトに株価を押し上げられるような施策を考えなければなりません。 別な話にたとえてみましょう。あるメーカーの自動車がものすごく売れているとします。なぜ売れるのでしょうか。 もちろん、その自動車を販売しているディーラーの営業努力も多少はあると思います。しかし、本質的なことを言えば、やはり自動車そのものがよくなければ、誰も買おうとはしません。株式市場もそれと同じことが言えます。 NISAの生涯投資枠を1800万円に引き上げ、制度の恒久化と非課税期間の無期限化を行い、金融経済教育をどれだけ充実させたとしても、投資をするうえで魅力的なものが何もなければ、結局のところ誰も投資しようとはしないでしょう。 あるいは、投資の魅力のある米国株式(S&P500インデックスファンドなど)にお金が流れてしまうかも知れません。 でも、この先、日本の株価が上がるという期待感が高まったらどうでしょうか。株価が上がる期待感が高まれば、放っておいたとしても、大勢の投資家が日本株を買いに来ます。 人口減少が進む日本に残された時間は、それほど長くはありません。何もしなければ、日本の経済水準はどんどん下がり、国際社会における日本のプレゼンスもどんどん後退していきます。そして、それは経済安全保障という観点からも、大きな問題になっていきます。 だからこそ、即効性のある株価対策が必要です。 理想的なことを言うならば、日本企業の生産性を引き上げ、イノベーションが加速するようにし、世界に冠たる技術を磨き上げ、グローバルな競争に勝ち抜き、世界ナンバーワンのシェアを握り、他国の企業の追随を許さないようにすれば、確かに株価は上がります。 でも、それはあくまでも理想論に過ぎません。同じことは米国企業も、韓国企業も、中国企業やインド企業も考えています。それだけに熾烈な競争になるのは間違いありませんし、競争に勝てないかも知れない。 もちろん競争に勝つための努力は必要ですが、その前に、まずは株価を簡単に上げられる方法を実践することが肝心です。 方法はあります。これを実行すれば、株価が確実に上昇するという方法です。しかも、長い時間をかけて2倍になるといった悠長な話ではなく、株価にとってかなり即効性が期待できます。 それは、企業の配当を損金扱いにすることです。配当の損金算入を認めるだけで、株価は確実に上昇するはずです。