実はすぐそこまで来ている衣服のスマート化。「スマートウェア」でフィットネス・医療が変わる
スマートウェアによって実現し得ること
アクセシビリティーは、スマートテクノロジーが持つ可能性のひとつです。ユーザーが独力では苦労するようなことを手伝ってくれるわけです。 スマートソックス「Siren」は、小型の温度センサーを使って情報を収集し、それを医療プロバイダーへ継続的に送ります。 目的は、糖尿病患者の体の状態をモニタリングすることです。体温の変化は炎症の兆候であり、足の潰瘍は、糖尿病患者によく見られる症状の1つだからです。 スマートウェアのサブカテゴリとして、「イネイブリング・テック(実現技術)ウェア」があります。これは、アダプタブルウェアという考えをさらに広げて、障害を抱えて生きる人たちをテクノロジーで支援するもの。 実例はまだ存在していないようですが、前述のヨガパンツと同じ技術を用いれば、振動という形で感覚をサポートできるかもしれません。同様に、GPSトラッキングを内蔵したスマートウェアは、記憶に問題を抱えた脆弱な人々のための安全機能となりえますが、まだ実用化はされていません。
アメリカはスマート制服の開発に着手
アメリカ国家情報長官は2023年、セキュリティーを目的としたスマートウェアの統合を研究するためのプログラムを発表しました。その名称は「SMART ePANTS」。 「smart electrically powered and networked textile systems(スマート電動ネットワーク繊維システム)」の頭文字をとったものですが、思わずうれしくなってしまうような名前です。政府にも、ユーモアのセンスはちゃんとあるんですね。 それはさておき、このプログラムの目的は、「標準的な繊維の伸縮性と柔軟性、洗浄性、快適さをあわせ持つ、音声と映像、地理位置情報のための統合型センサーを組み込んだ制服を開発する」ことです。 たとえば、救急隊員などの緊急対応者が、被害者のバイタルサイン(生命兆候)や苦痛の表れの有無をチェックできる、専用の制服を想像してみましょう。 あるいは、熱を与えたり冷却したりできる制服や、化学物質を検出できる制服、さらには、伝染病の有無をチェックできる病院スタッフ用の制服も考えられます。こうしたものが、いつか実現するかもしれません。 Source: Wearable X, Sensoria, Under Armor, Hyvle, Siren, Simply Home, IARPA, nano werk
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