「ハヌマーン」とはどんな神様なのか、関連する映画が続々公開でにわかに脚光
デヴ・パテルの最新作『モンキーマン』に続きインドで大人気の『ハヌ・マン』も
金の冠を頂き、長いしっぽをなびかせるハヌマーン。はだけた胸元には、世界を維持し修復する神ヴィシュヌの7番目の化身であり、ダルマを体現するラーマが描かれていることが多い。ヒンドゥー世界では、ハヌマーンは今も厚く信仰されている。 ギャラリー:想像力が生みだした 世界の怪物たち14点 8月23日に公開される映画『モンキーマン』は、そんなハヌマーン伝説を元にしている。忠誠と献身の化身となり、殺された母親の復讐を果たす主人公を演じるのはデヴ・パテルだ。10月4日に公開される『ハヌ・マン』ではもっと直接的に、主人公がハヌマーンの力を手に入れて最強ヒーローへと変貌を遂げる。こちらはインドで大人気を得て、日本でも公開される運びとなった。にわかに注目を集めるハヌマーンとはどんな神様なのだろうか。
誕生と活躍
猿神のハヌマーンはマルティ、バジュランガバリ、アンジャネーヤとも呼ばれ、勇気、力強さ、自制心の象徴だ。インド2大叙事詩のひとつ『ラーマーヤナ』では中心的な役割を担う。 聖仙ヴァールミーキが編纂した『ラーマーヤナ』はハヌマーンが登場する最古の文献とされる。紀元前3世紀ごろに書かれたとされるこの叙事詩は、謀略によって国を追われたラーマ王子がスリランカの魔王ラーヴァナに奪われた妻シータを取り戻す姿を描いている。 『ラーマーヤナ』にはハヌマーンの活躍ぶりが数多く語られているが、おそらく一番有名なのは、サルの軍団を率いてラーマと共に海を渡り、シータ妃を救出する場面だろう。 ハヌマーンは同じく2大叙事詩のもう一方『マハーバーラタ』や、古い伝説や伝承などをまとめたヒンドゥー教の聖典『プラーナ』にも登場する。『プラーナ』によるとハヌマーンは風神ヴァーユが、アプサラス(水の精)であるアンジャナーとの間にもうけた子どもだ。 賢者の怒りによってサルに変えられていたアンジャナーは、力強い息子を産めば元の姿に戻すと言われていた。そして見事、ハヌマーンは子どもの頃から怪力を発揮した。