【ラグビー】ファンサ完璧のリーチマイケル、優勝パレードで独特の胴上げを振り返る。
さながら「リーチマイケルを探せ」である。 今年5月にクラブ史上14季ぶりの日本一に輝いた東芝ブレイブルーパス東京は、6月29日、本拠地の東京都府中市にあるけやき通りで優勝パレードを実施。用意されたレッドカーペットの両脇には、約4000人もの見物客が集まっていた。 出席した選手とスタッフは計63名。会場近くに乗りつけたバスから、トークショーをおこなう特設ステージまでの一本道を通る。適宜、観客の呼びかけに応じ、写真を撮り、サインを書く。 主将のリーチは当初、ワーナー・ディアンズとともに列の先頭を歩いていた。赤いじゅうたんのゴール地点には、カメラマンが待ち構えていた。日本代表の主軸でもある2人がファンサービスに興じるのを抑える算段だ。 ところがどうだ。荘厳なBGMが流れる中でパレードは進み、いつの間にかリーチが列に埋没するではないか。どうやら誰よりも多くの人々に声をかけられ、そのひとつひとつに対応するうち、次々と後続に追い抜かされていたらしい。
メディアクルーとともに舞台の手前で待機するスタッフのひとりは、パレードの人員整理係と見られる関係者へインカムで指示を飛ばしていた。 「メディアの方が『マイケルはどこに行った?』って言っているから、そろそろ前のほうに連れてきて」 周囲の先導によって少しだけ歩くペースをあげたリーチは、それでも手渡されたサインペンを1本ずつ走らせ、スマートフォンに微笑みを向け、他のメンバーとともに約40分のコミュニケーションに幸せを噛みしめた。 トークセッションで話を振られれば、まるで試合でボールを持った時のように「リーーーーチ!」という歓声を浴びて起立。拳を突き上げた。 「府中の皆さん! We are the champion! Yaaaaah!」 5月26日の東京・国立競技場でのリーグワン決勝では、体幹を真っすぐに伸ばして胴上げされるリーチの姿がSNSで話題になった。当の本人は「(その写真を)見ました。合成かと思った」と笑う。 司会者との会話を通し、今シーズンに見られた若手の台頭について問われる。こう述べる。 「テレビでしか見られない選手のほか、練習の時に支えてくれるメンバーがいたから優勝できたと思っています。来年は彼らがもっともっと(ゲームに)出てくると思っています」
現行のリーグワンが2022年に発足してから3季を消化。いまだに連覇するチームは生まれていない。 責任企業の東芝が2025年に創立150周年を迎えるなか、事業化したクラブの荒岡義和社長は「その年には日本一になるとずっと話していた。今回、前倒ししたので、もっと強くなってもう1回(日本一を)獲りに行く」と宣言した。 (文:向風見也)