長野でも鳥インフルか 県と養鶏業者ら警戒さらに強める
長野県安曇野市で12月3日に回収されたコハクチョウ1羽から、鳥インフルエンザウイルス遺伝子(H5亜型)が検出され、同県は周辺地域の死亡野鳥の調査など対策に乗り出しました。県は死んだ野鳥に触れたり近づかないよう呼び掛けています。隣接の新潟県のほか青森県などでウイルスが検出されたため長野県も防疫態勢を強めていましたが、県内での検出に養鶏業者などの不安が広がっています。 【写真】新潟などで鳥インフルエンザ 長野県が感染防止へ警戒態勢
■コハクチョウの越冬地
このコハクチョウは、安曇野市内で衰弱して見つかり、長野県松本地方事務所の林務課職員が回収しました。松本家畜保健衛生所の簡易検査で陽性と判明。さらに遺伝子検査でH5亜型遺伝子を確認しました。感染した鶏やアヒルなどの家禽(かきん)が死ぬ、病原性が高い「高病原性鳥インフルエンザ」かどうか、鳥取大学で実施する国の確定検査で最終的に結果が出ます。 長野県は今後、コハクチョウの発見現場の周辺、半径10キロ以内で死んだ野鳥などについて調査。野鳥飛来地を中心に鳥獣保護管理員などによる巡回監視を実施します。併せて4日には発生地周辺の半径3キロ以内の100羽以上の家禽を扱っている施設などで異常がないか調べます。 安曇野市にはコハクチョウの越冬地、犀川白鳥湖があります。コハクチョウは新潟県や福島県などで餌を得ながら秋に長野県内に南下。犀川白鳥湖には例年10月ごろに500羽から多いときで2000羽が飛来します。 長野県は、▽死んだ野鳥を見つけた場合は素手で触らない▽野鳥の糞(ふん)が靴の裏や車などに付いて鳥インフルエンザウイルスがほかの地域に運ばれる恐れがあるので、野鳥に近づきすぎないこと――などを県民に呼び掛けています。
■防疫強化対策の矢先
ただ、鳥インフルエンザウイルスは感染した鳥との濃厚な接触など特殊なケースを除いて通常では人に感染しないとされ、県は「日常生活では鳥の排せつ物に触れた後は手洗いとうがいをすれば過度に心配することはない」として、冷静な対応を求めています。 高病原性鳥インフルエンザは11月に秋田、鹿児島、鳥取、岩手の各県で野鳥からウイルスが確認されており、関係自治体などは警戒態勢を取っています。長野県は11月29日、鳥インフルエンザ対策の庁内連絡会議で、鶏などの家禽を飼育する農家など1000戸以上に一斉通知システムや郵送などで注意喚起する――などの対策を決めていました。 長野県と隣接する新潟県では関川村に続いて上越市でも11月30日、養鶏場で高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されています。感染の拡大を警戒した長野県内の養鶏業者などは消毒用の石灰をまくなどして警戒を強めています。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説