みんなの夢の中にニコケイが登場!?という最新作が公開に ニコラス・ケイジ【ハリウッド アノ人のホントの顔】
人々はときどき、彼が凄い役者であるということを忘れているんじゃないか
渡辺 その『ゴーストライダー』の魅力についても語ってくれました。 「見てくれはポップコーンムービーだけど、中身は何世紀にわたって存在する哲学的で古典的なテーマだ。もしディズニーがゲーテの『ファウスト』を実写化しようとしたら『ゴーストライダー』みたいになると思うよ、僕は。まあ、ディズニーが『ファウスト』なんてありえないんだけどさ」って笑っていました。 また、「世の中にはバットマンタイプとスーパーマンタイプの2種類の人間がいると考えている。僕はバットマンタイプだ」って。そして「息子にスーパーマンの名前をつけたのは、キャル=エル(カル=エル)という響きが気に入ったのと、もっとポジティブなスーパーマンタイプの人生を歩んでほしかったから」と言っていましたね。 ――やっぱりおたくっぽい言葉が多いですね、ケイジ(笑)。 渡辺 別にサービスじゃなく、やっぱり根っからのおたく気質なんだと思います。彼が声優デビューした『スパイアニマル・Gフォース』(09)のときはこんな発言をしていました。 「僕はメル・ブランクのファンだ。ルーニー・テューンズを観て育ったからだよ。彼は凄い。だってバックス・バニー、トゥイーティー、ダフィー・ダック、エルマー・ファッド、ヨセミテ・サム、ポーキー・ピッグ……彼らの声をすべてやったんだからね! だからこのオファーが来たとき、自分の声を変えてやってみようと思ったんだ。とてもワクワクしたよ」 ニコケイは声にもこだわる人で、それは『キック・アス』(10)で組んだマシュー・ヴォーンの言葉からも分かります。 「ニックはディープなコミックファンで、本作の世界観については150パーセント分かっていた。だから、初めて衣装を身につけたとき“アダム・ウエスト(往年のバットマン役者)の喋り方が合うね”と言って、そういうセリフ回しにしているんだ。それは彼のアイデアであって、僕は天才的とまで思った。実際、素晴らしい演技を見せてくれて、僕は本当に感動した。あのキャラクターに対する理解、演技の引き出しの多さ、その奥には驚くべき知識がある。人々はときどき、彼が凄い役者であるということを忘れているんじゃないかな」 そうなんです。実は凄い役者なんです、ニコラス・ケイジは! やっと借金を返済したので、本来の“演技派ニコケイ”に戻ってくれるんじゃないかと思いたいのに、あと数本で引退すると発言したというニュースもありました。新作が目白押しなんですけどね。 その中で、本人が一番楽しみそうなのは『スパイダーマン スパイダーバース』(19)で声を担当したスパイダーノワールを主人公にした実写ドラマ。30年代のニューヨークを舞台に、かつてスーパーヒーローとして活躍していた年老いた私立探偵を描くそうです。Prime Videoのドラマシリーズなので、完成したらすぐ日本でも観られますよね、きっと。めちゃくちゃ楽しみです! 文:渡辺麻紀 『ドリーム・シナリオ』 上映中