首長墓の埴輪など40点 はにわ館で来月8日まで特別展 三重・松阪
百舌鳥など5大古墳群の出土品中心 「ヤマト王権」にスポット
三重県松阪市外五曲町の市文化財センター「はにわ館」は現在、特別展「王権と首長墓の埴輪(はにわ)」を開いている。4世紀後半から5世紀にかけて、近畿地方を拠点にした「ヤマト王権」の影響を受けたとみられる周辺の首長墓の大型の埴輪など40点を展示している。12月8日まで。 同展は、8月に船形埴輪などが国宝に指定されたことを記念したもの。同埴輪が出土した宝塚古墳(宝塚町)に大きな影響を与えたヤマト王権にスポットを当て、3世紀半ば~5世紀にかけて築かれた▶百舌鳥古墳群(堺市)▶馬見古墳群(奈良県香芝市など)▶古市古墳群(大阪府藤井寺市など)▶佐紀古墳群(奈良県盆地北部)▶大和古墳群(同県天理市)──の5大古墳群の出土品を中心に展示している。 会場の中心には、馬見古墳群の宮山古墳(国指定史跡・同県御所市)から出土した高さ約1.2メートルの入り母屋造りの大型家形埴輪。棟の一番高い部分に反り返った堅魚木(かつおぎ)が設置されているのが特徴で、大王の家を象徴するものだという。 他にも、百舌鳥古墳群のいたすけ古墳(同・堺市)から出土した、古墳時代中期のかぶとを、鉄製の継ぎ目の文様まで忠実に再現した「衝角付冑形(しょうかくつきかぶとがた)埴輪」なども展示。 また、西の首長墓である池田古墳(兵庫県指定史跡・朝来市)出土の「水鳥形埴輪」、東の首長墓である堂山1号墳(静岡県磐田市)出土の、弓の返しを防ぐための装身具を表現した「鞆形(ともがた)埴輪」など、5大古墳群の他の地域でもヤマト王権の影響を受けた古墳が広まり、地方の特色を吸収しながら拡大していった変遷や、地方ならではの独特な形状の埴輪も紹介している。 同館の担当者は「宝塚古墳とは違った雰囲気が味わえる展示になっている。埴輪がさまざまな形へと変化していく様子を見てもらえたら」と話す。 入館料は一般200円、18歳以下無料。開館は午前9時~午後5時。月曜休館。
宝塚1号墳出土埴輪、30日に講演会
30日午後1時半~3時には、本町の市産業振興センターで、文化庁文化財調査官の横須賀倫達氏を招き、「県宝塚1号墳出土埴輪のここが凄(すご)い!」と題した講演会を開催予定。無料だが事前申込制で定員は180人。 申し込み、問い合わせは同館TEL0598(26)7330へ。