土地の評価は「路線価」で決めると聞きましたが「固定資産の評価」と違うのでしょうか?そろそろ自宅の相続が不安になってきました。
これで「一物四価」ですが、実際の取引価格である実勢価格を入れて「一物五価」とも言われます。公示地価は取引価格のガイドですが、実際はさまざまな要因で売買価格が変動します。 現状では公示地価よりも実勢価格が高めに出ることが多いと考えます。各指標の評価額の関係を下図に示しました。
自宅マンションの土地評価
一戸建ての場合は、基本的に自宅の敷地に面する路線価に各種補正を加え決定した価額に、土地面積を乗ずれば評価額が計算できます。 マンションの場合、区分所有権(家屋部分)の面積に応じた敷地利用権(土地)の割合を、マンションの敷地全体の価額に乗じて計算するので、入居戸数が少ないほど、あるいは敷地が広大なほど一戸あたりの土地評価額が大きくなります(※3)。 購入マンションの固定資産税や将来の資産価値を考える際、土地部分はそれほど意識されないと思います。でも、立地条件(地価)と総敷地面積によっては、土地部分の価額が相当高額になることもあります。 毎年の税額だけでなく、相続時の税負担にも十分な対策が必要になってきます。特に、新築の場合は課税評価額などの物件情報が事前にありませんから、購入時に十分な検討が必要になります。
令和6年からマンションの評価方法が変わった
いわゆる「タワマン節税」への対応とも言われていますが、令和6年1月1日以降に相続・贈与で取得したマンションは、家屋部分と土地部分の両方について「区分所有補正率」を用いて評価額を決定することとなりました(※4)。 築年数や階数などいくつかの項目により「評価乖離(かいり)率」を算出し、実勢価格と一定以上の乖離(かいり)があるとされた場合、区分所有補正率を乗じた金額を評価額とします。 土地の評価は、その形状や、一戸建てとマンションの違いなどで、多くの補正項目が複雑に設定されています。相続が心配になってきたら、一度早めに専門家に評価してもらってはいかがでしょうか。 出典 (※1)国税庁 令和6年分の路線価等について (※2)国土交通省 主な公的土地評価一覧 (※3)国税庁 No.4602 土地家屋の評価 (※4)国税庁 No.4667 居住用の区分所有財産の評価 執筆者:伊藤秀雄 FP事務所ライフブリュー代表 CFP(R)認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員
ファイナンシャルフィールド編集部